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海外の需給動向【牛乳・乳製品/中国】 畜産の情報 2022年9月号

主要乳製品輸入量、全品目で減少

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生乳生産量は引き続き増加

 中国国家統計局によると、2022年1〜6月期の生乳生産量は、前年同期比8.4%増の1669万トンとなった(図1)。
 中国農業農村部と財政部は6月、内モンゴルなど酪農主産地の80県(注1)と、大都市周辺や特徴ある乳製品の生産地など20県に対し、耕畜連携やスマート畜産などを集中的に推進する施策(注2)を公表するなど、引き続き、酪農振興を推進していく姿勢を見せている。

(注1) 中国では、大きい行政区分から順に、「省級(省、直轄市など)」、「地級(地級市、自治州など)」、「県級(県、県級市、市轄区など)」などとなっている。
(注2) 22・23年、24・25年に各50県ずつを支援。対象県に対し、1年目に2000万元(4億500万円:1元=20.25円(注3))、2年目に1年目の実績などに基づいた額が交付される。
(注3) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年7月末TTS相場。

 
 

生乳価格は引き続き緩やかに下落

 生乳価格は、2022年に入り高値ながらも緩やかに下落しており、同年7月には1キログラム当たり4.12元(83円)となった(図2)。価格下落の要因としては、国内での生乳生産量の増加や長引くCOVID-19による需要の減少などが挙げられる。
 現地では、今後も大幅な下落はないとの見方が大勢を占めているが、仮に22年1月から7月までの下落率が今後も継続すれば、12月には、多くの酪農家が赤字経営に陥るとされる同4元(81円)(注4)の水準を切ることとなるため、今後の動向が注目されている。

(注4) 詳細は、「畜産の情報」2022年5月号「21年の生乳生産量と乳製品輸入量はともに増加、乳価も高値で推移」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002163.html)を参照されたい。

 

乳製品輸入量は全品目で減少も、一部品目の輸入額は増加

 2022年1〜6月の主要乳製品輸入量は、前年同期比37.1%減となったホエイを筆頭に、すべての品目で減少した(表)。
 一方で輸入額に注目すると、全品目で輸入量ほどの落ち込みは見られず、全粉乳(139億元<2815億円>、同13.1%増)およびバター(22億元<446億円>、同24.7%増)では増加するなど、乳製品国際価格の高騰を反映した結果となった。これを受けて現地専門家からは、今回の輸入量減少の要因について、乳製品国際価格の高騰により輸入製品の価格優位性が低下し、国産志向が高まったためとの意見が出ている。一方で、前年同期の輸入実績が非常に大きかったことも減少の一因として考慮する必要があるものの、長引くCOVID-19の影響で経済が停滞しており、国産も含めた乳製品全体の消費が振るわない状況にあるとの意見も出ている。


(調査情報部 阿南 小有里)