国産トウモロコシ価格、需給の緩みから弱含み
中国農業農村部は7月22日、「農産物需給動向分析月報(2022年6月)」を公表した。この中で2022年6月の国産トウモロコシ価格は、前月からわずかに下落するもおおむね横ばいで推移している(図1)。国内のトウモロコシ需給動向を見ると、供給面では、今後の収穫期に備えて一部の穀物貯蔵在庫の出荷が進むなどで安定している。一方で需要面では、飼料や工業向けの利用が低水準にある中で備蓄米の放出が続いており、これが代替飼料などとして使われることで末端での在庫は十分な状態としている。このため、需給は全体的に緩んでおり、同価格は当面、横ばいから弱含みで推移すると予測している。
主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、22年6月が1キログラム当たり3.14元(64円:1元=20.25円
(注))となった。同価格は前月から下落しつつも、国産価格を下回っていた同年2月の価格に比べ2割近く上昇している。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)同2.88元(58円)に比べて同0.26元(5円)高となり、3月に逆転した国産と輸入との価格差は縮まっている。
国産大豆価格、供給量の制約から高値安定
2022年6月の国産大豆価格は、前月と同じく高値安定で推移している(図2)。6月も主産地からの供給量は減少しており、新穀の供給が開始されるまでの間、国産大豆価格は高値安定での推移が見込まれている。通常、夏場を迎えて南部を中心に消費の端境期に入るため、一般的に大豆市場の動きは鈍化傾向となる。しかし今年は、流通業者などが手持ち在庫の販売を控えて価格の維持に努めており、また、6月下旬に北京で1キログラム当たり6元を上回る水準で国産大豆の買い付けが行われたことも、同価格を支える一因とされている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、6月が1キログラム当たり6.14元(124円、前年同月比7.3%高)と引き続き高い水準にある。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.50元(132円、同7.7%高)と同じく高い水準で推移している。国産大豆と輸入大豆との価格差は、大豆国際相場の上昇などからわずかに縮小し、1キログラム当たり1.00元(20円)となった。
このような中で、大豆の輸入量は前年同期比で減少しながらも比較的高い水準で推移している。22年(1〜5月)の輸入量は3804万8000トン(前年同期比0.4%減)となった。また、輸入額は世界的な穀物相場高騰の影響から同24.7%増の241億6600万米ドル(3兆2772億円:1米ドル=135.61円
(注))と報告されている。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年7月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)