フィードロット飼養頭数は依然高水準
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年7月のフィードロット導入頭数は176万5000頭(前年同月比1.8%増)とわずかに増加し、出荷頭数は182万5000頭(同3.9%減)とやや減少した。この結果、22年8月1日時点のフィードロット飼養頭数は1122万4000頭(同1.4%増)となり、8月としては20年に次ぐ高い水準となっている(図1)。
中でもテキサス州は、導入頭数が同6.8%増となり、全米の導入頭数の増加をけん引している。特に体重600ポンド(272キログラム)未満が同19.4%増、600〜699ポンド(272〜317キログラム)が同6.3%増となるなど軽量級の導入牛が多くなっている。これは、南部平原地帯の干ばつが要因と考えられる。
堅調な肥育牛価格は今後も続く見込み
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年7月の肥育牛価格は前年同月比15.8%高の100ポンド当たり142.53米ドル(1キログラム当たり438.75円:1米ドル=139.63円(注1))と堅調に推移している(図2)。この状況についてUSDAは、全般的に早期と畜が行われているため体重が軽い牛が多く、肥育牛の価値が高められたことに加えて、ボックスド・ビーフ(注2)の価格が比較的安定していることが要因としている。また、この状況が続くことで肥育牛価格は今後も堅調と予想している。
(注1) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年8月末TTS相場。
(注2) 食肉加工業者から卸売りまたは小売りへ出荷する段階の箱詰めした部分肉。
好調な輸出は主に中国がけん引
USDA/ERSによると、2022年6月の牛肉輸出量は14万2868トン(前年同月比15.2%増)と前年同月をかなり大きく上回った(表)。これにより、22年上半期(1〜6月)の牛肉輸出量は80万9986トン(前年同期比7.4%増)となり、上半期の輸出量としては過去最高となった。
輸出先別に見ると、上半期で最も輸出量が増加したのは中国向けで、同35.9%増となった。中国では、6月上旬まで新型コロナウイルス感染症(COVID−19)により一部の都市でロックダウンが行われたものの、この間の牛肉需要への影響は見られず、米国の輸出量増加に大きく寄与している。また、台湾やフィリピンを含むASEAN諸国などへの輸出量も増加しており、これらの市場からの需要が高いことも、好調な輸出を後押ししている。米国産牛肉の輸出は、国内相場の上昇に加え、輸出競争力を低下させるドル高の為替にもかかわらず堅調に推移している。この状況についてUSDAは、豪州やニュージーランドなど主要輸出国からの牛肉供給が限られている中で米国産牛肉の需要が高いことを要因としている。
(調査情報部 上村 照子)