1〜7月の鶏肉生産量はわずかに増加
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年7月の鶏肉生産量は167万1000トン(前年同月比1.8%減)とわずかに減少したものの、1〜7月の鶏肉生産量は1185万3000トン(前年同期比1.0%増)とわずかに増産となった(表1)。これを受けてUSDAは、2022年の鶏肉生産量を前年比1.0%増と予測している。
卸売価格は依然高騰するも下降基調
USDA/ERSによると、2022年7月の鶏肉卸売価格は1ポンド当たり1.53米ドル(1キログラム当たり470.98円:1米ドル=139.63円(注)、前年同月比45.2%高)と前年を大幅に上回っている(図1)。鶏肉価格は、今年に入り平年を大きく上回っているが、これはインフレにより米国の食肉製品が高騰する中で、安価なタンパク源に需要がシフトしたことが一因と考えられる。ただし、卸売価格は季節的動向から下降しており、7月の価格は今年のピークであった5月から9.6%低下した。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年8月末TTS相場。
一方、22年7月末の鶏肉冷凍在庫量は35万2730トン(前年同月比12.5%増)と平年より少ないものの、前年よりかなり大きく増加した(図2)。以上の在庫状況と価格動向を踏まえ、USDAは22年第3四半期(7〜9月)および第4四半期(10〜12月)の価格の見通しを下方修正している。
22年上半期鶏肉輸出量は前年をわずかに上回る
USDA/ERSによると、2022年6月の米国の鶏肉輸出量は、27万2395トン(前年同月比2.8%増)と前年同月をわずかに上回った(表2)。これを受けて22年上半期(1〜6月)の輸出量は165万378トン(前年同期比0.4%増)と前年同期をわずかに上回った。輸出先別ではメキシコ向けが首位を維持しているが、輸出量はかなり大きく減少している。一方で台湾向けが増加したことで、メキシコの減少分を相殺する形となっている。
USDAは、ここ数カ月、米国の鶏肉価格と対米ドル相場が高止まりしていることから、22年下半期の鶏肉輸出環境は芳しくないとし、通年では前年比1.3%減と予測している。一方で、すでに一部の鶏肉の部位の価格は下がり始めていることから、23年の鶏肉輸出量を同1.5%増と予測している。
(調査情報部 上村 照子)