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海外の需給動向【牛肉/ブラジル】 畜産の情報 2022年10月号

22年牛肉輸出量は前年を大幅に上回って推移

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22、23年の牛肉生産量、増加の見込み
 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2022年8月24日、22および23年の牛肉生産量予測値を公表した。これによると、22年の牛肉生産量は842万3000トン(前年比1.1%増)、23年は866万8000トン(同2.9%増)と2年連続での増加が見込まれている(図1)。

 
 ブラジルでは、18〜19年にかけて旺盛な牛肉需要に対応するため多くの雌牛がと畜に回されたが、20年からは生産者が牛を保留し牛群再構築の方向に転換した結果、20〜21年のと畜仕向けの頭数が減少した。22〜23年は、一定数の牛が確保されている中で、堅調な海外需要を背景にと畜頭数は回復するとみられる。なお、牛飼養頭数においても22年は2億2246万頭(同0.3%増)、23年は2億2796万頭(同2.5%増)と増加が見込まれている。

22年1〜7月牛肉輸出量、前年同期比21.9%増
 ブラジル経済省貿易事務局(SECEX)によると、2022年1〜7月の牛肉輸出量は109万8862トン(前年同期比21.9%増)と前年同期を大幅に上回った(図2)。21年は、9月4日に国内で非定型BSEの発生が確認されたことで、中国向けなどに輸出制限措置が講じられたため、一時的に輸出量が大きく落ち込み7年ぶりに輸出量が減少したが、22年になると中国向けが急速に回復するとともに、米国、エジプト向けが大幅に増加したためである。


 輸出先別に見ると、中国向けは、64万9876トン(同32.6%増)と前年同期を大幅に上回り、輸出量全体の6割を占めた。同国向けは、21年12月15日まで約3カ月間の輸出制限がされており、22年2月以降は前年を上回る輸出量となっている。エジプト向けは7万1343トン(同1.8倍)と急増し、中国に次ぐ輸出先となった。同国向けは18年以降減少傾向で推移していたが、再び増加している。また、20年2月に輸出が再開された米国向けは5万7096トン(同1.3倍)と大幅に増加した。特に21年11月〜22年3月にかけては毎月1万トンを超える牛肉が輸出された。

22年肥育牛価格、高値で推移
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、2022年8月までの肥育牛価格は、海外需要が堅調な中で飼料費など生産費の増加やインフレの進行などの影響で上昇し、1キログラム当たり20レアル(530円:1レアル=26.49円(注))を超える高値で推移した(図3)。21年10月には、中国向けなどへの牛肉輸出制限により同17レアル(450円)程度まで下落したもののその後回復し、22年8月25日時点では同20.90レアル(554円)と高値で推移している。

(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」2022年8月末TTS相場。
 
 
(調査情報部 井田 俊二)