22年5月の豚肉生産量、前年同月比1.3%増
欧州委員会によると、2022年5月の豚肉生産量(EU27カ国)は189万9020トン(前年同月比1.3%増)と6カ月ぶりに前年同月を上回った(図1、表)。5月は、1頭当たりの枝肉重量が94.0キログラム(同0.4%減)であったものの、と畜頭数が2019万頭(同1.7%増)とわずかに増加したことが生産量の増加に寄与した。
同月の生産量を主要生産国別に見ると、スペイン(同2.8%増)、フランス(同8.5%増)、デンマーク(同7.9%増)、オランダ(同7.3%増)、イタリア(同5.1%増)が前年同月を上回った。一方でドイツ(同3.6%減)、ポーランド(同8.8%減)が前年同月を下回った。特にドイツは、12カ月連続で前年同月を下回っている。
英国農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、22年1〜5月の豚肉生産量が前年同期比3.8%減となったのは、欧州委員会による短期的需給見通し
(注1)の22年予測(前年比4.7%減)に沿った動向であるとしている。
(注1) 海外情報「欧州委員会、食肉の短期的需給見通しを公表(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003307.html)を参照されたい。
7月の豚枝肉卸売価格は、前年同月比25.8%高
欧州委員会によると、2022年7月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比25.8%高の100キログラム当たり193.10ユーロ(2万7136円:1ユーロ=140.53円
(注2))となった(図2)。
現地報道によると、豚枝肉卸売価格の高騰は、北欧などで需要が回復する一方、豚肉生産量が前年より低水準で推移しているためとしている。また、多くの主要生産国で価格が上昇する中で、スペインは7月に入り下落しているが、これは、中国向けの大幅な輸出量の減少が影響したためとしている。
AHDBは、生産資材費は依然として高騰しており、豚枝肉卸売価格が高い水準にあっても、生産者の利益は圧迫されるとしている。
(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年8月末TTS相場。
(調査情報部 渡辺 淳一)