22年上半期の家きん肉生産量は前年比微減
中国国家統計局によると、2022年上半期(1〜6月)の家きん総出荷羽数は69億1000万羽(前年同期比0.7%減)、生産量は1067万トン(同0.8%減)となった。おおむね安定的な生産が継続しているが、各地でCOVID-19の新規感染者数が増加し始めた3月ごろは、食鳥処理場の稼働率が低下していたとされている。
直近の米国農務省海外農業局(USDA/FAS)の見通しによると、22年の中国の鶏肉生産量
(注1)は前年比2.7%減の1430万トンとされている(表1)。
(注1) 同国では、家きん肉生産量のうち約6割が鶏肉であるとされている。鶏肉の生産割合については『畜産の情報』2020年5月号「中国の肉用鶏産業の現状と鶏肉需給の見通し」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001123.html )2 肉用鶏産業の概要(1)家きん産業における肉用鶏産業の位置付けを参照されたい。
鶏肉価格は豚肉価格同様に上昇傾向
中国農業農村部によると、2022年8月第2週の鶏肉市場価格は、1キログラム当たり24.2元(492円:1元=20.34円(注2)、前年同期比13.2%高)となり、22年4月以降、おおむね上昇基調にある(図)。22年上半期の価格動向を見ると、春節(22年は1月31日〜2月6日)の価格上昇以降、COVID−19の拡大により価格は落ち着いていたものの、4月以降は豚肉価格の高騰に合わせて鶏肉価格も上昇傾向にある。特に6月以降は、COVID-19の拡大状況の改善に伴う食肉需要の回復が価格をけん引しているとされる。世界的な飼料価格の高騰により生産コストは増加しているものの、豚肉価格に合わせて鶏肉価格も上昇していることから、生産者の経営収支は改善しているとされている。
(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年8月末TTS相場。
22年1〜7月の鶏肉輸入量は前年比やや減
2022年1〜7月の冷凍鶏肉輸入量は、前年同期比5.1%減の77万9050トンとなった(表2)。減少の要因として、アフリカ豚熱からの回復途上にあった昨年前半ほどの食肉輸入需要はない状況下で、3〜5月を中心としたCOVID−19の再拡大や、輸入貨物の検疫強化などが影響したとされている。輸入先別に見ると、ブラジルやロシア産は前年を上回ったものの、米国、タイ、アルゼンチン産は前年を下回った。
22年1〜7月の鶏肉調製品輸出量は全面的に増加
2022年1〜7月の鶏肉調製品の輸出量は、18万1817トン(前年同期比26.2%増)と前年を大幅に上回った(表3)。コロナ禍を経て世界的に経済活動再開の兆しが見え始める中で、食肉価格の高騰を背景に主要な食肉の中でも手ごろな価格帯の鶏肉に需要がシフトする動きがあるとされている。特に、鶏肉輸入を伸ばしている欧州への輸出量が大幅に増加している。
(調査情報部 海老沼 一出)