6月の生乳出荷量、前年同月比2.2%減
欧州委員会によると、2022年6月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1226万9050トン(前年同月比2.2%減)と前年同月をわずかに下回った(表)。
同月の生乳出荷量を国別に見ると、オランダ(同1.5%増)、ポーランド(同1.2%増)がわずかに増加した一方で、出荷量上位のフランス(同1.4%減)、アイルランド(同0.6%減)がわずかに減少し、ドイツ(同0.2%減)、イタリア(同0.3%増)は前年同月並みとなった。この結果、22年上半期(1〜6月)の生乳出荷量は前年同期を1.2%下回ることとなった。生乳出荷量減少の要因としては、飼料をはじめとする生産資材費の高騰、熱波や干ばつの影響などが挙げられる。
また、22年7月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり50.33ユーロ(7073円:1ユーロ=140.53円
(注1)、前年同月比39.8%高)と依然として最高値を更新しており、17カ月連続で前年同月を上回っている(図1)。
(注1) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年8月末TTS相場。
22年上半期、粉乳の輸出量、前年同期比大幅減
欧州委員会によると、英国を除くEU域外向けの2022年上半期の主要な乳製品の輸出量は、バターが9万737トン(前年同期比2.6%減)、チーズが46万2461トン(同3.5%減)と前年同期を下回った。また、脱脂粉乳は33万4905トン(同19.3%減)、全粉乳は12万322トン(同16.7%減)といずれも前年同期を大幅に下回った。
この輸出量の減少は、中国向け減少の影響が大きく、チーズは前年同期比21.1%減少し、脱脂粉乳は同40.0%減となった。中国国内では、生乳生産量が増加する中で乳製品国際価格の高騰により国産志向が高まっていることに加え、COVID−19による需要低迷の影響から輸入量が減少傾向にあるという
(注2)。
(注2) 『畜産の情報』2022年9月号「主要乳製品輸入量、全品目で減少」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002374.html)を参照されたい。
また、乳製品価格(8月21日の週)は、バターが100キログラム当たり714ユーロ(10万338円)と高値で推移している一方、全粉乳が同490ユーロ(6万8860円)、脱脂粉乳が同367ユーロ(5万1575円)とやや下落し、落ち着きを見せている(図2)。
(調査情報部 渡辺 淳一)