生乳生産量は13カ月連続で減少
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2022年6月の生乳生産量は全州で減少したことにより、56万7388キロリットル(58万4410トン相当、前年同月比9.2%減)とかなりの程度減少した(図1)。
この結果、21/22年度(7月〜翌6月)の累計生乳生産量は、前年度比3.9%減の850万9488キロリットル(876万4772トン相当)となり、DAが5月に下方修正(注)した同年度の生乳生産量見込み857万キロリットル(883万トン相当)をさらに下回る結果となった(図2)。この要因としては、総じて天候に恵まれた地域が多かったものの、投入コストの増加やCOVID-19に起因する労働力不足などがマイナス要因として働いたことが挙げられる。また、これによりDAが本年5月に予測した22/23年度の生乳生産量855万キロリットル(881万トン相当、同時点の21/22年度予測比0.2%減)について、今後、21/22年度の実績である850万キロリットル以下に引き下げられる可能性が強まってきた。
なお、米国農務省(USDA)は7月21日に発表した「Dairy:World Markets and Trade」において、22年(1〜12月)の豪州の生乳生産量を870万トン(前年比3%減)と見込んでいる。この理由としてUSDAは、乳価などのプラス要因はあるものの、土地価格の高騰による離農や肉用牛生産への転換による飼養頭数の減少、労働力不足などで乳量が制限されることを挙げている。
(注) 『畜産の情報』2022年8月号「乳価は好調も、生乳生産量は低迷」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002319.html)を参照されたい。
バターおよびバターオイル、年度累計輸出量は減少も同輸出額は増加
DAが発表した2022年6月の主要乳製品4品目の輸出量は、中国やタイ向けが好調であった脱脂粉乳を除く3品目がいずれも減少した(表、図3)。特に、バターおよびバターオイルは、5カ月連続して前年同月を下回っており、21/22年度累計輸出量でも前年度を下回った。
21/22年度の輸出量の特徴としては、22年2月以降のバターおよびバターオイルとチーズの不振が挙げられる。この要因として、主要輸出先である中国において、COVID−19の再拡大に伴うロックダウンにより、これらの主要仕向け先であるレストランやベーカリーの営業停止が相次ぎ輸入需要が低下したこと、また、乳製品国際価格の高騰により輸入製品の価格優位性が低下して国産志向が高まったことなどが挙げられる。
なお、同年度の輸出額に注目すると、乳製品国際相場の上昇からバターおよびバターオイルを含めた全品目で前年度を大きく上回っている。
(調査情報部 阿南 小有里)