7月の生乳生産量、前年同月を下回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022年7月の生乳生産量は28万8000トン(前年同月比5.7%減)と前年同月をやや下回った(図1)。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、7月に続いた降雨により、牧草地が泥状となったことで牧草成長率が低下したことを挙げている。また、8月にニュージーランド全域を襲った嵐により、牧草の生育に遅れが見られ、その影響が9〜10月の搾乳期に現れることから、22/23年度(6月〜翌5月)の生乳生産量についても、前年比2.2%の減少が見込まれている。
乳製品輸出量、主要3品目が前年同月を上回る
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年7月の乳製品輸出量は、チーズを除く主要3品目でいずれも前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳は、最大の輸出先である中国向けをはじめ、フィリピンやインドネシアなど東南アジア向けが増加したことで、全体でも前年同月を大幅に上回った。全粉乳は、最大の輸出先である中国向けが前年同月比3割程度落ち込んだものの、主要輸出先のインドネシア向けが同2倍程度増加したことで、全体ではわずかに増加した。バターおよびバターオイルは、最大の輸出先である中国向けをはじめ、輸出先第2位の豪州向けがそれぞれ増加したことで、全体でも大幅に増加した。一方、チーズは、輸出量上位の中国、日本、豪州、インドネシア向けがそれぞれ減少したことで、全体でも大幅に減少した。
GDT価格、全粉乳を除く主要3品目が堅調に推移
2022年8月16日に開催されたGDT(注1)の1トン当たりの平均取引価格は、全粉乳を除く主要3品目で前回並みまたは前回を上回る結果となった(図3)。市場関係者は、長引くCOVID−19の影響で、中国での乳製品需要が低迷していることなどから、主要4品目すべてで価格下落を予測していたが、これに反する結果となった。品目別に見ると、脱脂粉乳は東南アジアからの引き合いが強かったものの、北アジア(注2)の応札が前回の3分の1程度まで減少し、価格は前回並みとなった。全粉乳は北アジアからの引き合いが強かったものの、アフリカからの引き合いが弱まったため、価格はやや下落した。バターは、北アジアの引き合いが弱まったものの、東南アジアや中東からの買い付けが増加したため、全体では前回並みとなった。また、チーズは、中東や北アジアからの引き合いが強まったことで価格は上昇し、小幅な上昇を除けば、22年3月以来の本格的な価格上昇となった。
(注1) グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 工藤 理帆)