1 令和4年8月の牛肉生産量は、2万6541トン(前年同月比3.9%増)と前年同月をやや上回った(図1)。品種別では、和牛は1万2031トン(同3.0%増)とやや、交雑種は7036トン(同11.2%増)とかなり大きく前年同月を上回った一方、乳用種は7121トン(同0.2%減)と前年同月並みとなった。
なお、過去5カ年の8月の平均生産量との比較では、4.2%増とやや上回る結果となった。
2 8月の輸入量は、冷蔵品は、国内需要の低下や為替の影響により、米国産や豪州産などの主要国を中心に全体的に減少し、1万9553トン(同16.2%減)と前年同月を大幅に下回った(図2)。一方、冷凍品は、前年同月の米国産輸入量が、米国のアジア諸国向け輸出量の増加や米国国内需要の増加による現地相場の高騰などにより少なかったことから、3万3907トン(同11.5%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図3)。この結果、全体では5万3506トン(同0.5%減)と前年同月をわずかに下回った。
なお、過去5カ年の8月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は18.9%減と大幅に下回った一方、冷凍品は22.5%増と大幅に上回る結果となった。
3 8月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は175グラム(同15.2%減)と前年同月をかなり大きく下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の8月の平均消費量との比較でも、13.2%減とかなり大きく下回る結果となった。
一方、外食産業全体の売上高は、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の第7波の影響があったものの、3年ぶりに営業制限や行動制限のない「お盆休み」となったことから、前年同月と比べ18.0%増と大幅に上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、デリバリーや注文のデジタル化などの購買方法の利便性への対応などにより好調を維持し、同3.8%増と前年同月をやや上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風は、新商品やキャンペーンが好調であったことから、同7.8%増と前年同月をかなりの程度上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、お盆期間の帰省客や観光客需要などにより堅調に推移し、同50.8%増と前年同月を大幅に上回った。
4 8月の推定期末在庫は、15万9883トン(同18.6%増)と前年同月を大幅に上回った(図4)。このうち、輸入品も14万6640トン(同21.1%増)と前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は、7万104トン(同5.5%減)と前年同月をやや下回った(図5)。このうち、国産品は2万5891トン(同4.7%増)とやや上回った一方、輸入品は4万4213トン(同10.6%減)とかなりの程度下回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)