農林水産省は令和4年8月5日に「令和3年度食料需給表(概算値)」
(注1)、「令和3年度食料自給率・食料自給力指標について」を公表した。
食料自給率とは、日本全体に供給された食料(以下「国内仕向量」という)に占める国内で生産された食料の割合であり、供給熱量(カロリー)ベースおよび生産額ベースで計算する総合食料自給率と、重量ベースの品目別自給率との2種類に分けられる。
総合食料自給率のうち、人間にとって最も基礎的な栄養であるカロリーに着目した供給熱量ベースの総合食料自給率を見ると、3年度は小麦や大豆が作付面積、単収ともに増加したこと、米における外食需要の回復などにより、38%と前年度から1ポイント上昇した(表)。また、食料国産率
(注2)でも、47%と前年度より1ポイント上昇した。
また、経済活動の状況を捉えるために生産額や輸入額を基に計算した生産額ベースの総合食料自給率を見ると、国際的な穀物価格や海上運賃の高騰を受けた畜産物の飼料輸入額や油脂類・でん粉などの原料輸入額の上昇や、肉類および魚介類などの輸入単価の上昇、米や野菜の国産単価の低下などにより、63%と前年度より4ポイント低下した。また、食料国産率についても、69%と前年度より2ポイント低下した。
一方の品目別自給率は、食料需給表に取りまとめられた品目別の国内生産量、輸入量、輸出量、在庫の増減を基に重量ベースで計算されたものである。分子が国内生産量、分母が国内消費仕向量(国内生産および輸入から輸出を減じた数量に在庫の増減を加えたもの)となっており、各要素の増減が同自給率の増減に反映される構成となっている。
このうち、肉類(鯨肉を除く。以下同じ)は、牛肉、豚肉および鶏肉のすべての品目で生産量が増加したものの、豚肉および鶏肉の輸入量も増加し、全体では前年度と同水準の53%となった。また、肉類全体の国民1人・1年当たり供給純食料
(注3)は、34.0キログラムと過去最高となった前年度を上回った。
なお、飼料自給率(可消化養分総量(TDN)換算ベース)については、飼料の国内需要量がおおむね増加傾向で推移する中、25%と前年度と同水準となった。また、飼料自給率を考慮した肉類の品目別自給率については、家畜生産において必要となる飼料用穀物の多くを海外から輸入していることから低い水準にあり、8%となった。
(注1) 「食料需給表」とは、1年間に国内で供給される食料の生産から最終消費に至るまでの総量を明らかにするとともに、国民1人当たりの供給純食料および栄養量を示したものであり、食料自給率の算出の基礎となるものである。計測期間は、牛肉、豚肉、牛乳・乳製品、鶏卵については、当年4月1日から翌年3月31日まで、鶏肉については、平成21年度以降、暦年(当年1月1日から12月31日まで)となっている。
(注2) 「食料国産率」とは、畜産物の算定において飼料が国産か輸入かにかかわらず、畜産物全体の供給に占める、国内で実際に生産された畜産物の割合。
(注3) 各品目の供給数量を人間の消費に直接利用可能な食料の形態に歩留まり換算し、日本の総人口(各年度10月1日現在)で除したもの。なお、令和3年10月1日現在の人口は、1億2550万2000人(前年度比0.5%減)。
以下、食肉(牛肉、豚肉、鶏肉)、牛乳・乳製品、鶏卵の品目別自給率(重量ベース)、国民1人・1年当たりの供給純食料について紹介する。