22年1〜6月の牛と畜頭数は前年同期を上回る水準で推移
ウルグアイ食肉協会(INAC)によると、2022年1〜6月の牛と畜頭数は134万2000頭(前年同期比8.7%増)となった。6月を除き前年同月を上回り、これまでの最多であった21年を上回るペースで推移している(図1)。これは、と畜対象となる個体が増加していることに加え、堅調な海外からの牛肉需要や高水準の国際価格により生産者の経営環境が良好な状況にあるためである。
近年のと畜動向を見ると、19〜20年は、16〜18年に生体牛(雄子牛)輸出が増加したため、と畜頭数が減少した。21年以降のと畜頭数は、主要な生体牛輸出先であるトルコが19年から輸入制限措置を講じた結果、生体牛輸出が減少したことに加え、子牛出生頭数が増加したことなどから、1カ月当たり20万頭以上となった。
22年の去勢牛生産者出荷価格は高値で推移
INACによると、2022年の去勢牛生産者出荷価格は、堅調な海外からの牛肉需要を背景として21年に続き上昇傾向で推移している。22年6月第4週には1キログラム当たり5.614米ドル(819円:1米ドル=145.81円
(注1))の高値となり、21年初めと比較して26.2%上昇した(図2)。その後、価格はやや下落したものの、直近の9月第2週の価格は、同5.106米ドル(745円)と前年同期を13.8%上回っている。
(注1) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年9月末TTS相場。
牛肉輸出量、中国向けが全体の7割を占める
2022年1〜7月の牛肉輸出量は、堅調な牛肉の国際価格などを反映して23万7236トン(前年同期比10.9%増)と前年同期をかなりの程度上回った(表)。また、輸出単価は、堅調な需要を反映して同30.1%高と大幅に上昇した。
輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは16万5460トン(同21.7%増)と大幅に増加し、全体の69.7%を占めている。21年下期(7〜12月)および22年上期(1〜6月)の牛肉需要が強かったこと、また、主要な牛肉輸出国であるブラジル、アルゼンチン、豪州からの供給が一時的に滞ったことなどが、ウルグアイからの輸出量増加につながった。中国に次ぐ米国向けは2万3821トン(同2.3%減)と前年同期をわずかに下回ったものの、低関税枠(2万トン)を上回る数量が輸出された。このほか、EU向けは、ヒルトン枠と高級牛肉無税枠
(注2)での輸出が大半を占めている。EU加盟国ではオランダ向けが最も多く1万111トン(同14.2%増)となった。
また、19年2月に19年ぶりとなる輸出が再開された日本向けは、3894トン(同33.9%増)と前年同期を大幅に上回り増加傾向が続いている。このうち、約6割を冷蔵品が占めている。
(注2) ヒルトン枠(EU規則593/2013)は、EUにおける高級牛肉の低関税輸入枠であり、放牧肥育であることなどが条件とされる。また、高級牛肉無税枠(同481/2012。QUOTA481)は、一定期間の穀物給与などが義務付けられている。
(調査情報部 井田 俊二)