豚総飼養頭数、前年同月比3.0%減
カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2022年7月1日現在の豚総飼養頭数は1393万頭(前年同月比3.0%減)とやや減少し、18年以来4年ぶりに減少に転じた(表1)。内訳を見ると、肥育豚の頭数減少が顕著となっている。この要因について米国農務省海外農業局(USDA/FAS)では、カナダ国内の豚肉需要が停滞する中で、同国西部で発生している干ばつの影響による飼料コストの高騰や東部での食肉加工処理能力の低下による増頭意欲の減退などを挙げている。
22年1〜8月豚と畜頭数、前年同期比7.6%減
カナダ農務・農産食品省によると、2022年8月の豚と畜頭数は160万4000頭(前年同月比1.0%減)とわずかに減少し、22年1〜8月の累計の同頭数では、1314万4000頭(前年同期比7.6%減)とかなりの程度減少した(図)。同国食肉大手オリメル社の大規模工場の稼働率低下など、東部でのと畜能力が低下しており、養豚の主要州であるオンタリオ州やケベック州では、今後さらなる豚群の縮小の可能性も示唆されている。
22年1〜7月の豚肉輸出量、前年同期比2.2%減
カナダ統計局によると、2022年7月の豚肉輸出量は、8万7500トン(前年同月比7.7%増)とかなりの程度増加したが、22年1〜7月の累計では、66万3200トン(前年同期比2.2%減)とわずかに減少した(表2)。同時期を主要輸出先別に見ると、米ドル高で推移する為替相場や米国産豚肉価格の高騰により、米国向けは20万3800トン(前年同期比43.5%増)と大幅に増加した。中国向けは引き続き同国内での豚肉生産の回復により、7万6400トン(同60.6%減)と大幅に減少した。また、メキシコ向けが8万3900トン(同22.8%増)、フィリピン向けが9万3900トン(同29.0%増)、韓国向けが3万1700トン(同33.5%増)とそれぞれ好調となり、中国向けの減少分を相殺する形となった。一方、日本向けは11万3900トン(同4.9%減)とやや減少した。同期間の日本の総豚肉輸入量は増加しているが、現地報道によると、スペインやメキシコなどから中国向けに輸出していた豚肉が日本にも一部向けられたことで、カナダ産豚肉の輸入割合低下につながったと分析している。
(調査情報部 伊藤 瑞基)