6月の豚肉生産量は前年同月比6.3%減
欧州委員会によると、2022年6月の豚肉生産量(EU27カ国)は、1頭当たり枝肉重量(92.6キログラム、前年同月比0.5%減)およびと畜頭数(同5.8%減)の減少から、176万9520トン(同6.3%減)となった(表1)。
この結果、上半期(1〜6月)の豚肉生産量は、前年同期比4.2%減の1128万7300トンとなった。主要生産国別に見ると、輸出が堅調なスペイン(同1.7%増)が前年同期を上回った一方で、他の主要生産国はいずれも前年同期を下回った。
英国農業・園芸開発委員会によると、EUの豚肉生産量は22年末まで前年同月比で減少し、冬場の需要期に向けて需給が引き締められると見込んでいる。
8月の豚枝肉卸売価格は、前年同月比38.5%高
欧州委員会によると、2022年8月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比38.5%高の100キログラム当たり201.30ユーロ(2万8951円:1ユーロ=143.82円
(注1))となった(図)。
現地報道によると、気温が肉豚の生育に適した水準に低下してきたことや、生産者による価格上昇の期待感から保留傾向にあった肉豚の出荷が再開されてきたことで、豚枝肉卸売価格の上昇に鈍化の兆しも見られるとしている。一方で、燃料費や飼料費は依然として高い水準にあるとし、引き続き豚枝肉卸売価格を高騰させている供給不足の要因としている。
(注1) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年9月末TTS相場。
豚肉輸出量は、前年同月比13.0%減
欧州委員会によると、2022年6月のEU域外への豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量(EU27カ国)は、23万4716トン(前年同月比13.0%減)と前年同月をかなり大きく下回った(表2)。
主要輸出先別に見ると、中国向けはCOVID−19による都市封鎖や中国国内の豚肉生産量の増加により同50.4%減と前年同月を大幅に下回った。一方、日本向け(同21.7%増)、韓国向け(同33.6%増)、フィリピン向け(同113.6%増)はそれぞれ前年同月を大幅に上回った。韓国はEUが主張するアフリカ豚熱の発生に対して地域主義の適用を認めたため
(注2)、今後、さらなる韓国向け輸出量の増加も見込まれる。
(注2) 海外情報「豚肉および鶏肉の韓国向け輸出が再開(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003356.html)を参照されたい。
(調査情報部 渡辺 淳一)