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海外需給動向【鶏肉/タイ】畜産の情報 2022年11月号

22年に入り鶏肉価格は引き続き高値で推移

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22年1〜8月の鶏肉生産は、前年比微増
 タイ農業協同組合省農業経済局によると、2022年1〜8月の鶏肉生産量は158万2112トン(前年同期比1.0%増)となった(図1)。昨年末のアフリカ豚熱発生の影響(注1)による鶏肉への代替需要やコロナ禍からの脱却に伴う消費回復などにより前年をわずかに上回った。
 
 
 22年の国内の鶏肉卸売価格は一段高
 2022年8月の鶏肉卸売価格は、1キログラム当たり61バーツ(237円:1バーツ=3.89円(注2))となり、昨年末からの高騰が継続している中でさらに上昇した(図2)。タイでは、アフリカ豚熱の影響が残る豚肉生産に起因した鶏肉代替需要、コロナ禍からの経済回復による世界的な鶏肉需要の増加などにより、国内外からの鶏肉需要が高まっている。しかしながら、最近では多雨の影響から食肉需要の減少が見られるとされており、9月に入り豚肉、鶏肉ともに価格は下落傾向にあるとされる。さらに9月下旬には、9日間にわたり肉類の喫食を控える菜食週間が控えていることから、一時的に価格は下落するものとみられる。

(注1) 海外情報「2022年の豚総出荷頭数、アフリカ豚熱などの影響で減少見込み(タイ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003182.html)を参照されたい。
(注2) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年9月末TTS相場。

 

 
22年1〜7月の冷凍鶏肉輸出量は引き続き大幅減も7月単月では増加
 2022年1〜7月の冷凍鶏肉の輸出量は、18万4957トン(前年同期比22.9%減)と前年を大幅に下回ったものの、7月単月では2万8249トン(前年同月比3.4%増)と前年をやや上回っている(表1)。国内の鶏肉処理・加工施設では、入国規制の緩和により外国人労働者の受け入れが進み、労働力不足はおおむね回復したとされている。同期間の輸出量を輸出先別に見ると、主要輸出先である日本向けは前年同期に増加した反動から大幅に下回った。また、アフリカ豚熱の影響から回復した中国向けも、豚肉供給量の安定による代替需要の減少から前年同期を大幅に下回った。一方で、国内供給量の不足から生体鶏および鶏肉の輸出を停止したマレーシア向け(注3)が前年を大幅に上回っている。

(注3) 海外情報「マレーシア産鶏肉輸出の停止で、インドネシア産の輸入を承認(シンガポール)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003302.html)を参照されたい。
 
 
22年1〜7月の鶏肉調製品の輸出量はかなり大きく増加
 2022年1〜7月の鶏肉調製品輸出量は、38万2266トン(前年同期比13.5%増)と前年をかなり大きく上回った(表2)。輸出先別に見ると、欧州向けをはじめ多くの仕向け先で増加している。前述の通り、労働力不足が解消したとされる中でコロナ禍からの世界的な経済回復による需要増が追い風となっている。
 
 
(調査情報部 海老沼 一出)