8月の生乳生産量、2カ月連続で前年同月を下回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022年8月の生乳生産量は132万9000トン(前年同月比4.9%減)と2カ月連続で前年同月を下回った(図1)。現地報道によると、8月は酪農主産地の大部分で記録的な降雨により放牧環境が不良となったほか、洪水により一部地域で集乳が停止されたとしている。また、今後の生乳生産見通しについてニュージーランド証券取引所(NZX)は、10月以降の牧草の生育が改善に向かうと見込まれるものの、生産コストの高騰やCOVID−19による労働力不足などから、引き続き前年割れで推移すると見込んでいる。
乳製品輸出量、主要4品目すべてで増加
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年8月の乳製品輸出量は、主要4品目すべてで前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳は、最大の輸出先である中国向けが前年同月比2割程度減少したものの、インドネシアやフィリピンなどの東南アジア向けが大幅に増加したことで、全体では前年同月をわずかに上回った。全粉乳は、最大の輸出先である中国やインドネシア向けが大幅に増加したことで、全体でも同2倍程度増加した。バターおよびバターオイルは、輸出量上位の中国、豪州、インドネシア、マレーシア向けがそれぞれ増加したことで、全体でも大幅に増加した。チーズは、主要輸出先である豪州向けがかなりの程度減少したものの、最大の輸出先である中国向けをはじめ、主要輸出先の日本や韓国向けがそれぞれ大幅に増加したことで、全体でも大幅に増加した。
GDT価格、全粉乳およびチーズが堅調に推移
2022年9月20日に開催されたGDT
(注1)の1トン当たりの平均取引価格は、全粉乳およびチーズが前回(9月6日)を上回る結果となった(図3)。品目別に見ると、脱脂粉乳は、北アジア
(注2)の購入量が前回比2割程度増加したものの、東南アジアからの引き合いが弱まったため、価格はわずかに下落した。全粉乳は北アジアやEUからの引き合いが強まったことで、価格はやや上昇した。バターは、北アジアや東南アジアからの引き合いが強かったものの、その他の地域からの引き合いが弱まったため、前回並みとなった。チーズは、北アジアからの引き合いが弱まったものの、東南アジアや中東からの引き合いが強まったため価格はわずかに上昇した。
(注1) グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2) ニュージーランド外務貿易省は、中国、日本、香港、韓国、台湾を北アジアとしている。
(調査情報部 工藤 理帆)