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海外需給動向【飼料穀物/ブラジル】畜産の情報 2022年11月号

21/22年度トウモロコシ生産量、第2期作を中心に大幅増の見込み

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は9月8日、2021/22年度第12回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。





 
 21/22年度トウモロコシ生産量、前年度比30.1%増の見込み
 2021/22年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回より141万9200トン下方修正されたものの、1億1327万2100トン(前年度比30.1%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。これは、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった19/20年度の記録を更新するものとなる。
 全生産量の4分の1弱を占める第1期作トウモロコシは、すでに収穫が終了しており、生産量は2497万9700トン(同1.0%増)と前年度をわずかに上回ると見込まれている。作付面積は前年度より4.5%増加したものの、主産地である南部のリオグランデドスル州やパラナ州で21年11月から年明けにかけて深刻な降水量不足に陥り、単収が大幅に減少したことが影響した。
 同じく4分の3強を占める第2期作トウモロコシは、収穫が最終段階にあり、生産量は前回より128万6100トン下方修正されたものの、8612万600トン(同41.8%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。生産量の増加は、堅調な国際価格を反映して作付面積(同9.2%増)が過去最大となったことに加え、20/21年度に落ち込んだ単収が大幅に回復(同29.8%増)するためである。なお、今回、降水量不足の影響や害虫(ヨコバイなど)による作物への被害により、南部のパラナ州、中西部のゴイアス州などで単収が低下し前回に続き生産量が下方修正された。
 このほか、同じく2%程度を占める第3期作トウモロコシは、9月に収穫が始まる予定で、生産量は前回より13万3800トン下方修正されたものの、217万1800トン(同33.4%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。今回は、北東部のセルジッペ州での水不足やアラゴアス州、ペルナンブコ州での大雨の影響などで単収が低下し生産量が下方修正された。

21/22年度大豆生産量、上方修正により前年度比9.9%減の見込み
 2021/22年度の大豆の収穫は6月に終了し、前回より150万4500トン上方修正されたものの、1億2555万2300トン(前年度比9.9%減)となり、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。堅調な国際価格を反映して作付面積が同4.9%増となったものの、南部3州および中西部のマットグロッソドスル州で21年11月から年明けにかけてラニーニャ現象の影響により深刻な水不足に陥り、単収が大幅に減少したことが影響した。なお、今回の修正はマットグロッソ州などで未調査地域の作付け分が追加されたものである。
 需給状況を見ると、生産量は前述の21/22年度のほか20/21年度分も123万2300トン上方修正された。また、この修正に対応する形で、21/22年度の輸出量が196万7500トン上方修正され7719万9000トン(同10.3%減)と見込まれている。

22/23年度トウモロコシ、大豆生産量とも増加を予測
 CONABは8月24日、2022/23年度穀物の最初の予測を公表した。これによると、トウモロコシの生産量は、生産コストの上昇はあるものの、作付面積の増加および単収の増加により1億2550万トン(前年度比9.4%増)と前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。また、大豆の生産量については、堅調な価格を背景に作付面積が増加するとともに南部などで単収が回復することから1億5036万トン(同21.2%増)と大幅に増加すると見込まれている。



 
(調査情報部 井田 俊二)