1 令和4年9月の牛肉生産量は、2万8130トン(前年同月比5.3%増)と前年同月をやや上回った(図1)。品種別では、和牛は1万3083トン(同5.6%増)とやや、交雑種は7456トン(同12.9%増)とかなり大きく前年同月を上回った一方、乳用種は7177トン(同1.3%減)とわずかに前年同月を下回った。
なお、過去5カ年の9月の平均生産量との比較では、6.8%増とかなりの程度上回る結果となった。
2 9月の輸入量は、冷蔵品は、前月に続き、国内需要の低下や為替の影響により、米国産や豪州産などの主要国を中心に全体的に減少し、1万6981トン(同30.3%減)と前年同月を大幅に下回った(図2)。一方、冷凍品は、豪州産や米国産などの前年同月の輸入量が、現地相場の高騰などにより少なかったことなどから、3万4922トン(同33.5%増)と前年同月を大幅に上回った(図3)。この結果、全体では5万1912トン(同2.7%増)と前年同月をわずかに上回った。
なお、過去5カ年の9月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は22.9%減と大幅に下回った一方、冷凍品は17.8%増と大幅に上回る結果となった。
3 9月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は183グラム(同6.3%増)と前年同月をかなりの程度上回った。前年同月比で増加に転じるのは14カ月ぶりとなる(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の9月の平均消費量との比較でも、5.0%増とやや上回る結果となった。
一方、外食産業全体の売上高は、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の第7波の峠を越え、月後半にかけて客足に回復の動きが見られたことなどから、緊急事態宣言などの影響を受けた前年同月と比べ19.7%増と大幅に上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、ドライブスルーの増設やキャンペーン商品の強化などにより売り上げを伸ばし、同4.6%増と前年同月をやや上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風は、期間限定メニューが奏功するなどしたことから、同11.1%増と前年同月をかなり大きく上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、COVID−19拡大の減速に伴い大都市圏店舗が好調であったことなどから、同67.7%増と前年同月を大幅に上回った。
4 9月の推定期末在庫は、16万5839トン(同16.2%増)と前年同月を大幅に上回った(図4)。前月比では5カ月連続の増加となった。このうち、輸入品も15万2206トン(同18.5%増)と前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は、7万3386トン(同7.1%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図5)。このうち、国産品は2万7040トン(同6.6%増)、輸入品は4万6346トン(同7.3%増)と、いずれも前年同月をかなりの程度上回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)