生産量、乳用種は減少するも和牛・交雑種は増加
上半期の牛肉生産量は、16万8954トン(前年同期比3.7%増)と前年同期をやや上回った(図1)。品種別に見ると、乳用種は4万2123トン(同1.2%減)と前年同期をわずかに下回ったものの、和牛は8万116トン(同3.1%増)とやや、交雑種は4万4140トン(同10.5%増)とかなりの程度、いずれも前年同期を上回った。
乳用牛への性判別精液の利用が増加傾向にあることに伴い、交雑種生産や受精卵移植による和牛生産に利用できる乳用牛が増加する中、乳用種は、これらの影響により減少したとみられる。一方で、和牛は繁殖雌牛の頭数が増加したこと、また、交雑種は、上述の理由に加えて、種付け時の交雑種の子牛価格が高かったことによる生産拡大などにより、それぞれ増加したとみられる。
輸入量、冷蔵品は減少するも冷凍品は増加
上半期の牛肉輸入量は、冷蔵品は減少したものの、冷凍品が増加したことから、32万2355トン
(注1)(前年同期比2.8%増)と前年同期をわずかに上回った(図2)。
主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、11万9819トン(同17.1%減)と前年同期を大幅に下回った。主要国のうち全体の52%を占めた米国産は、現地価格や物流の混乱に加え、為替相場などの影響により、6万1746トン(同18.3%減)と前年同期を大幅に下回った。また、同36%を占めた豪州産も、食肉処理施設における労働力不足などによる生産の減少や物流の混乱、為替相場などの影響により、4万3086トン(同18.7%減)と前年同期を大幅に下回った。
主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品は、20万2373トン(同19.9%増)と前年同期を大幅に上回った。前年同期の輸入量が各国の現地価格の高騰により少なかったことに加え、今期は買い付けを増やしたタイミングと重なったことなどから、全体の38%を占めた豪州産は7万7263トン(同7.4%増)とかなりの程度、同31%を占めた米国産は6万3913トン(同28.8%増)と大幅に、いずれも前年同期を上回った。
(注1)輸入量の合計には煮沸肉、ほほ肉、頭肉が含まれている。
推定出回り量、4年ぶりに増加
上半期の牛肉推定出回り量は、COVID−19の影響は続いているものの、3年ぶりに行動制限のない大型連休となったことなどから回復傾向にあり、44万9750トン(前年同期比0.6%増)と前年同期をわずかに上回った(図3)。このうち、国産品は、16万4946トン(同4.9%増)と前年同期をやや上回った一方、輸入品は28万4804トン(同1.8%減)とわずかに前年同期を下回った。なお、上半期の推定出回り量が前年同期を上回るのは4年ぶりとなる。
また、上半期末(9月末)の牛肉推定期末在庫は16万5839トン(前年同月比16.2%増)と前年同月を大幅に上回った。このうち、輸入品は15万2206トン(同18.5%増)と前年同月を大幅に上回った一方、国産品は1万3633トン(同4.6%減)と前年同月をやや下回った。