畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > アジアからの需要増が牛肉輸出をけん引

海外需給動向【牛肉/米国】畜産の情報 2022年12月号

アジアからの需要増が牛肉輸出をけん引

印刷ページ
牛肉輸出は過去最高、アジア需要がけん引
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年8月の牛肉輸出量は14万6783トン(前年同月比0.4%増)と引き続き好調に推移し、1〜8月の累計輸出量も109万5989トン(前年同期比5.9%増)と過去最高を記録した(表)。

 
 輸出先別に見ると、8月は中国向けおよびフィリピン向けの輸出量が前年同月比で大幅に増加した。特に中国の牛肉需要は旺盛で、8月までの累計輸出量は前年同期比30.0%増となり、対前年比増加量では全体の76.3%を占めている。USDAは「アジア上位10カ国への輸出増が著しく、対前年比増加の85%を占めた」ことを理由に、23年の輸出見通しを引き上げた。
 こうした状況について、米国食肉輸出連合会(USMEF)のホルストロム会長は「われわれは幅広い市場を開拓する大切さについてよく話すが、8月の輸出実績はそれを見事に物語っている」と述べ、米ドル高の為替相場に直面する中、主要輸出先以外の市場開拓を続ける重要性を強調した。

フィードロット飼養頭数、今年初めて前年同月を下回る
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年9月のフィードロット導入頭数は208万頭(前年同月比3.8%減)と前年同月を下回った。しかし、出荷頭数は186万頭(同0.4%増)とわずかに増加したことで、22年10月1日時点のフィードロット飼養頭数は1144万9000頭(同0.9%減)と、1月以降初めて前年同月を下回った(図1)。一方、9月のと畜頭数が283万9000頭(同3.9%増)となったことで、USDAは、干ばつによると畜頭数増加や平均枝肉重量の増加を理由として、22年の牛肉生産量見込みを5万9000トン引き上げた。

 
肥育牛価格、堅調な需要により高値で推移
 米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2022年9月の肥育牛価格は100ポンド当たり141.66米ドル(1キログラム当たり466円:1米ドル=149.26円(注)、前年同月比14.2%高)となり、堅調な需要に支えられ高値で推移しつつも、前月をわずかに下回った(図2)。一方、卸売価格(カットアウトバリュー)は期末在庫が増加する中で100ポンド当たり254.11米ドル(1キログラム当たり836円)と前月比で10.79米ドル(1611円)下落したことから、USDAは22年第4四半期の肥育牛価格予測を4米ドル(597円)引き下げた。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年10月末TTS相場。

 
(調査情報部 小林 大祐)