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海外需給動向【豚肉/中国】畜産の情報 2022年12月号

需要期を迎え、豚肉価格は上昇傾向継続の見込み

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繁殖雌豚頭数は前年から減少も5月以降は増頭傾向
 中国農業農村部によると、2022年9月末時点の繁殖雌豚頭数は前年同月比2.2%増、前月比2%増の4362万頭となった(図1)。アフリカ豚熱からの回復により同頭数がピークとなった前年よりは減少しているものの、22年5月以降、増加傾向で推移している。なお、同部が最適な繁殖雌豚頭数としている約4100万頭と比較すると、現在の規模は6.4%上回っている状況にある。
 また、同時点での総飼養頭数は4億4394万頭(前年同月比1.4%増)と前年をわずかに上回った。

 
豚と畜頭数は前年を下回る
 中国国内の豚と畜頭数は5月以降減少傾向で推移し、2022年9月の同頭数は2109万頭(前年同月比15.9%減)と前年をかなり大きく下回った(図2)。また、22年第3四半期(7〜9月)の豚肉生産量は1211万トン(前年同期比0.7%増)と前年をわずかに上回った。一部の生産者で価格の上昇期待により出荷を先延ばしにする傾向があったことから、大型の肥育豚が出荷されており、出荷生体重量が増加しているためとされる。


豚肉価格は今後も上昇傾向となる見込み
 豚肉価格および子豚価格はともに2022年第2四半期(4〜6月)から上昇に転じている(図3)。子豚価格は7月以降、おおむね横ばいで推移し、9月の価格は前月比1.1%安の1キログラム当たり44.1元(911円:1元=20.65円(注))となった。豚肉価格は上昇傾向が続いており、9月には同5.8%高の同35.8元(739円)と前月をやや上回った。
 国家発展改革委員会などは9月以降、合計7回にわたり豚肉国家備蓄の市場放出を実施しており、地方政府によるものも合わせると合計放出量は20万トン以上とされている。しかしながら、現地関係者によると、中国では9月始業が一般的である学校給食需要や秋季の大型連休(中秋節および国慶節)による祝日需要に加え、気温の低下に伴い春節に向けたハム、ソーセージなどの加工肉製造の季節を迎え、需要が増加する時期であることから、依然として豚肉価格は上昇傾向で推移すると予測されている。

 (注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年10月末TTS相場。

  
22年1〜9月の豚肉輸入量は引き続き大幅減も8月以降の輸入量は増加傾向
 2022年1〜9月の豚肉輸入量は、121万523トン(前年同期比59.9%減)と大幅に減少した(表)。上半期を中心に、アフリカ豚熱の影響から回復途上にあった昨年ほどの輸入肉需要はないものの、8月以降は増加傾向にあり、9月単月では前月比9.7%増の15万1775トンと今年の月間輸入量としては最大となった。昨今の豚肉価格の上昇に伴い、輸入業者の仕入れ意欲が高まっているとされている。

 
(調査情報部 海老沼 一出)