生乳生産量、引き続き減少
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2022年8月の生乳生産量は、主産地での多雨や全州での労働力不足、生産コストの増加などから65万8094キロリットル(67万7837トン相当、前年同月比5.9%減)とやや減少した(図1)。対前年同月比がマイナスとなるのは9カ月連続
(注1)となる。
この結果、22/23年度(7〜8月)の累計生乳生産量は、前年同期比6.6%減の122万8294キロリットル(126万5143トン相当)とかなりの程度減少した。
(注1)『畜産の情報』2022年10月号「21/22年度の生乳生産量、前年度よりやや減少」では「13カ月連続で減少」と報じたが、DAが22年7月の生乳生産量公表に併せて、21/22年度の毎月の生乳生産量を修正したことに伴い修正。
22/23年度の生乳生産量についてDAは、22年9月時点では、「横ばい」と昨年度(約855万キロリットル<881万トン相当>)と同程度と予測している。しかし本年10月、主要酪農地帯である豪州東部のビクトリア州やニューサウスウェールズ(NSW)州では洪水が散発しており、現地報道によると、牧草への被害のみならず、集乳や乳業工場の稼働にも影響が出ているという。10月は豪州の生乳生産がピークを迎える時期だけに、今後の生乳生産量への影響が懸念される。
10月26日現在の報道によると、豪州は10月としては記録的な降水量になると予測されており、NSW州では、すでに推定1億9200万豪ドル(186億円:1豪ドル=97.05円
(注2))に上る農作物被害が発生しているという。オランダの農協系金融機関ラボバンクは、洪水被害により、同国内の食品価格が全国的に高騰する恐れがあると警告している。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年10月末TTS相場。
主要乳製品輸出、一部品目に復調の兆しか
DAが発表した2022年8月の主要乳製品4品目の輸出量は、品目別に大きく異なる動きを見せた(表、図2)。
脱脂粉乳は、タイなどアジア向けの減少を受けて大幅に減少したのに対し、全粉乳はアラブ首長国連邦やインドネシア向けなどの好調を受け大幅に増加した。バターおよびバターオイルは、中国をはじめとするアジア向けの減少が響き、かなり大きく減少した。チーズは、輸出先シェア第1位の日本向けの増加などを受けてかなり大きく増加した。
(調査情報部 阿南 小有里)