1 令和4年10月の牛肉生産量は、2万8890トン(前年同月比1.1%増)と前年同月をわずかに上回った(図1)。品種別では、和牛は1万3460トン(同0.2%増)と前年同月並み、交雑種は7917トン(同9.9%増)と前年同月をかなりの程度上回った一方、乳用種は7074トン(同5.5%減)と前年同月をやや下回った。
なお、過去5カ年の10月の平均生産量との比較では、0.8%増とわずかに上回る結果となった。
2 10月の輸入量は、冷蔵品は、前月に続き、国内需要の低下や為替の影響により米国産や豪州産などの主要国を中心に全体的に減少し、1万4535トン(同29.1%減)と前年同月を大幅に下回った(図2)。また、冷凍品は、冷蔵品からの代替需要などがあり、近年の平均的な輸入量を上回る水準にあったものの、前年同月の豪州産の輸入量が入船の重なりで多かったことなどから、3万4057トン(同1.7%減)と前年同月をわずかに下回った(図3)。この結果、全体では4万8609トン(同11.9%減)と前年同月をかなり大きく下回った。
なお、過去5カ年の10月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は35.9%減と大幅に下回った一方、冷凍品は19.3%増と大幅に上回る結果となった。
3 10月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は183グラム(同6.5%増)と前年同月をかなりの程度上回った(総務省「家計調査」)。前年同月比で14カ月ぶりに増加に転じた前月に続き、2カ月連続の増加となった。
なお、過去5カ年の10月の平均消費量との比較でも、2.0%増とわずかに上回る結果となった。
外食産業全体の売上高は、「全国旅行支援」や「水際対策の大幅緩和」が始まり、秋の訪れとともに全国で人の流れが活発化したことなどから、前年同月と比べ14.8%増とかなり大きく上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、秋の定番メニューや新商品が好調であったことなどから、同10.8%増と前年同月をかなりの程度上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風は、朝食の販売促進とデリバリーの増加などから、同11.0%増と前年同月をかなり大きく上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、客数の増加などから、同18.2%増と前年同月を大幅に上回った。
4 10月の推定期末在庫は、16万4947トン(同11.8%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図4)。前月同月比で14カ月連続の増加となった。このうち、輸入品も15万1851トン(同14.2%増)と前年同月をかなり大きく上回った。
推定出回り量は、7万7560トン(同1.0%減)と前年同月をわずかに下回った(図5)。このうち、国産品は2万8596トン(同3.5%増)と前年同月をやや上回った一方、輸入品は4万8964トン(同3.5%減)と前年同月をやや下回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)