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国内需給動向【鶏卵】畜産の情報 2023年1月号

4年11月の鶏卵卸売価格、高水準で推移が続く

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 令和4年11月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり262円(前年同月比55円高)と、前年同月を大幅に上回った(図1)。なお、直近5カ年の同月価格の平均値と比較した場合の増加割合において、3カ月連続で最高値を記録している。
 卸売価格は、例年、夏場の低需要期に底を迎え、年末の最需要期に向けて上昇する傾向がある。本年はCOVID-19の影響により減少していた業務用需要が、4年5月以降、回復傾向にあるところへ秋冬季の季節需要が加わり上昇傾向となっている。また、生産コスト高による減産傾向の影響も見られることから、同価格は例年より高い水準で推移している。
 今後について、供給面では、生産コストの上昇により生産への影響が懸念されていることや、高病原性鳥インフルエンザ(以下「HPAI」という)の発生が多く確認されていることなどから、見通しが不透明な状況となっている。
 需要面は、鍋物やおでんなどテーブルエッグの季節需要の本格化に加え、全国旅行支援の継続実施やインバウンドによる業務用需要増加などによる消費の回復が期待される。
 
 

鶏卵小売価格、19カ月連続で前年同月を上回る
 鶏卵の小売価格は、その消費量のほとんどが国内生産で賄われていることから、卸売価格の影響を受ける傾向がある。
 鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、前年は、令和2年11月〜3年3月にかけて発生したHPAIの影響により、特に夏場で大きく上昇したとともに、本年に入っても業務用需要の回復や生産コストの上昇なども相まって平年に比べて高水準で推移しているところである。小売価格(東京都区部)の推移を見ても、11月は1パック当たり247円と前年同月比13円高となり、19カ月連続で前年同月を上回り、引き続き高い水準で推移している(図2)。
 なお、このように小売価格が高い水準で推移する中、10月の鶏卵の家計消費量(全国1人当たり)は、955グラム(前年同月比1.4%増)と前年同月をわずかに上回っており、過去5カ年の平均購入数量と比べても2.1%増となっている(図3)。鶏卵の需要の根強さを表していると言えるものの、価格の推移次第では今後の消費量を注視していく必要がある。




 
(畜産振興部 生駒 千賀子)