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海外需給動向【鶏肉/米国】畜産の情報 2023年1月号

鶏肉供給増で卸売価格は下落

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22年1〜10月の鶏肉生産量はわずかに増加
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年10月の鶏肉生産量は処理羽数、生体重量の増加により184万4000トン(前年同月比6.2%増)とかなりの程度増加し、同年1〜10月の累計は1742万3000トン(前年同期比2.3%増)とわずかに増加した(表1)。これを受けてUSDAは、22年の鶏肉生産量を前年比2.4%増と予測している。

 
卸売価格は供給増により下降基調
 USDA/ERSによると、2022年10月の鶏肉卸売価格は1ポンド当たり1.22米ドル(1キログラム当たり376.20円:1米ドル=139.87円(注)、前年同月比18.4%高)と前年同月を大幅に上回った(図1)。ただし、卸売価格は5月をピークに下降しており、10月の価格は5月と比べて28.1%低下した。
 一方、22年10月末の鶏肉冷凍在庫量は38万5245トン(前年同月比17.8%増)と、18〜20年の水準を下回りながらも、前年を大幅に上回った(図2)。これら在庫状況や生産量の増加による供給増を踏まえてUSDAは、22年第4四半期の価格予測を前月発表から2セント引き下げ、1ポンド当たり1.25米ドル(1キログラム当たり385.45円)とした。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年11月末TTS相場。




 
22年1〜9月の鶏肉輸出量、前年同期比でわずかに減
 USDA/ERSによると、2022年9月の鶏肉輸出量は、27万1250トン(前年同月比0.6%増)と前年同月をわずかに上回った(表2)。輸出先別に見ると、輸出量首位のメキシコ向けがかなりの程度減少したものの、キューバやアンゴラ、フィリピン、台湾、ベトナム向けなどが大幅に増加し、メキシコ向けの減少分を相殺する形となった。また、同年1〜9月の輸出量は、7、8月の輸出が低調だったことにより、243万2205トン(前年同期比1.8%減)と前年同期をわずかに下回った。
 USDAは、主要輸出先への出荷が好調であることや、生産量増加が見込まれることなどから、22年の鶏肉輸出量を327万1000トン(前年比2.0%減)とし、前月の予測から引き上げた。一方で、23年の輸出量は334万3000トンと、前月の予測から据え置かれた。

 
(調査情報部 小林 大祐)