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海外需給動向【牛乳・乳製品/米国】畜産の情報 2023年1月号

国内外の旺盛な需要を背景に、バターの卸売価格は高水準

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22年10月の生乳生産量、前年同月比1.2%増
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年10月の乳用経産牛飼養頭数は941万8000頭(前年同月比0.3%増)と2カ月連続で前年同月を上回り、5月以降ほぼ横ばいで推移している(図1)。
 22年10月の生乳生産量は、飼養頭数の微増に加え、1頭当たり乳量が増加していることから、855万トン(前年同月比1.2%増)とわずかに増加し、7月以降は前年同月を上回って推移している(図2)。




 
バターの在庫量は減少し、卸売価格が上昇
 USDA/NASSによると、2022年10月のバターの期末在庫は10万8700トン(前年同月比14.1%減)とかなり大きく減少した。年末のホリデーシーズンに向けて国内外の需要が高まる中、今年6月まで国内の生乳生産量が伸び悩んだことや、輸出が好調なことなどが減少の要因とされている。このため、同月のバターの卸売価格は1ポンド当たり3.18米ドル(1キログラム当たり981円:1米ドル=139.87円(注)、同76.6%高)と大幅に上昇し、3カ月連続で3.0米ドルを上回る高水準で推移している(図3)。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年11月末TTS相場。

 
脱脂粉乳の輸出量は減少するも、乳製品全体の輸出量は増加
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年9月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳が前年同月を下回ったものの、乳糖(前年同月比32.3%増)、ホエイ(同22.4%増)、WPC(タンパク質濃縮ホエイ、同49.3%増)、バター(同49.2%増)が大幅に増加し、乳製品全体としては好調に推移している(表)。
 品目別に見ると、脱脂粉乳は、引き続き中国や東南アジアからの需要減退などによりかなりの程度減少(同7.1%減)し、前年同月比では10カ月連続で減少が続いている。一方、大幅に増加したホエイ、WPCについて、米国乳製品輸出協会(USDEC)によると、最大の輸出先である中国国内で豚肉の取引価格が高騰する中、養豚農家の生産意欲の高まりを受け、豚への飼料用需要が増加したことなどが要因と分析している。また、バターは米国内での価格が上昇し、同国産バターの国際的な価格の優位性が低下する中で、メキシコ、カナダ向けが両国内での需要増から前年同月比で倍増するなど、好調を維持している。


 
(調査情報部 伊藤 瑞基)