22年9月の生乳出荷量、前年同月比0.9%増
欧州委員会によると、2022年9月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1151万1950トン(前年同月比0.9%増)と2カ月ぶりに前年同月を上回った(表1)。
同月の生乳出荷量を国別に見ると、主要国ではドイツ(同1.2%増)、フランス(同0.4%増)、オランダ(同3.9%増)、ポーランド(同2.6%増)、アイルランド(同1.1%増)が増加した一方で、イタリア(同0.1%増)は前年同月並みとなった。
USDAによると、21年下期はドイツやフランスなど複数の国で生乳出荷量は低迷したものの、今期は気温が穏やかであるため生乳出荷量は前年同期の水準を上回っているとしている。また、生乳取引価格が堅調なことも、生乳出荷量の増産に寄与しているとしている。
生乳取引価格は最高値を更新
欧州委員会によると、2022年10月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり55.20ユーロ(8008円:1ユーロ=145.08円
(注1)、前年同月比42.7%高)と20カ月連続で前年同月を上回っており、かつ、最高値を更新している(図)。
一方で、バターをはじめとした主要乳製品の価格は、輸出量の減少などのため下落傾向にある。業界関係者によると、乳製品需要の減少が継続すると、今後の乳価も下落する可能性があるとしている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年11月末TTS相場。
第1〜3四半期の乳製品の輸出量、前年同期比減
欧州委員会によると、2022年第1〜3四半期(1〜9月)の英国を除くEU域外向けの乳製品輸出量は、バターが前年同期比6.6%減の13万1636トン、脱脂粉乳が同15.4%減の51万7389トン、チーズが同3.4%減の69万8522トン、全粉乳が同19.7%減の17万9553トンといずれも前年同期を下回った(表2)。
EUの乳製品輸出をけん引してきた中国向けは、同国の生乳生産量増加やCOVID-19に起因する需要低下などから輸出量が減少している
(注2)。また、乳製品価格は下降基調にあるものの、オセアニアや米国などの輸出競合国を上回る水準であることなどが、輸出量の減少につながっている。
(注2)『畜産の情報』2022年9月号「主要乳製品輸入量、全品目で減少」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002374.html)を参照されたい。
(調査情報部 渡辺 淳一)