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海外需給動向【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2023年1月号

生乳生産量、引き続き前年割れで推移

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22年10月の生乳生産量、4カ月連続で前年同月を下回る
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022年10月の生乳生産量は302万4800トン(前年同月比3.5%減)と4カ月連続で前年同月を下回った(図1)。この結果、22/23年度(6月〜翌5月)の10月までの累計でも、738万3700トン(前年同期比6.9%減)とかなりの程度減少した。この要因について同国乳業最大手のフォンテラ社は、10月前半に北島で冷涼多雨が続いたことで日照不足となり、牧草の生育状態が不良となったことを挙げている。ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、同国では6月のシーズン当初から多雨と低温が続き、一部地域では洪水が発生するなどして生乳生産が低迷していたものの、10月後半に入り、天候が回復し、牧草の生育状態も回復傾向にあるとしている。

 
乳製品輸出量、バターおよびバターオイルが前年同月を大幅に上回る
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年10月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳とバターおよびバターオイルが前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳は、最大の輸出先の中国向けが前年同月比で4割程度減少したものの、主要輸出先であるインドネシアでは、口蹄疫への対応が進む中(注1)、同国向けが同4倍程度増加したことで全体でもかなりの程度増加した。全粉乳は、最大の輸出先の中国向けが前年の半数程度まで減少したものの、インドネシアや豪州向けが大幅に増加したことで相殺され、全体ではわずかな減少にとどまった。バターおよびバターオイルは、中国向けが同2倍程度増加したことで全体でも大幅に増加した。一方、チーズは、最大の輸出先である中国向けをはじめ、主要輸出先の日本、豪州、韓国向けがそれぞれ減少したことで、全体でも大幅に減少した。

(注1)海外情報「口蹄疫対策として300万回分のワクチン接種などを実施(インドネシア)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003361.html)を参照されたい。




GDT価格、脱脂粉乳および全粉乳が前回開催を上回る
 2022年11月15日に開催されたGDT(注2)の1トン当たりの平均取引価格は、脱脂粉乳および全粉乳が前回開催(11月1日)を上回る結果となった(図3)。両品目のGDT価格は、ウクライナ情勢の悪化やCOVID-19の影響を受けた中国での乳製品需要が低迷していることから、下落傾向で推移していたものの、中東やEUからの引き合いが強まったことで反騰した。今後の予測について現地報道によると、世界的な天候不良で牧草が生育不良となり、乳製品の供給が減少すると見込まれているため、主要4品目の価格は下げ止まるとしている。また、中国でCOVID-19の規制が緩和されれば需要は徐々に戻るとし、今後、乳製品価格は反転に向かうとの見解が示されている。

(注2)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。

 
(調査情報部 工藤 理帆)