量販店および食肉専門店における店頭での食肉販売拡大のための対応について、選択式で回答してもらったところ、以下の通りの結果となった。
(1)量販店
牛肉では、回答割合の高い順に、1位(85%)が「低級部位や切り落としを増やす」、同率2位(70%)が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」および「総菜や味付け肉の強化」となった(図12)。
豚肉では、同率1位(75%)が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」および「総菜や味付け肉の強化」、3位(50%)が「低級部位や切り落としを増やす」となった。
鶏肉では、1位(85%)が「総菜や味付け肉の強化」、2位(40%)が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」、同率3位(25%)が「低級部位や切り落としを増やす」 および「少量パックの充実」となった。
牛肉、豚肉および鶏肉のすべてにおいて、「総菜や味付け肉の強化」という回答が多く、COVID-19の影響による内食需要の拡大、高止まりを背景に、時短・簡便商品の取扱量の増加による販売拡大への取り組みが見られる。
具体的な対応としては、「消費者の精肉から簡便商品へのシフトが顕著であることから、鍋商材を中心とした簡便商品の拡充を図る」、「味付焼き肉については、こだわりのタレの開発を行い安売りにならない商品開発を継続して実施する」、「追いダレなど手作り志向に対応した総菜メニューを提案強化する」、「時短、簡便商品として需要が増加しているキット品や冷凍品の総菜アイテムを増やしていく」、「焼き肉セットやしゃぶしゃぶセット、希少部位セットなどを用いて客単価・個単価のアップを図る」、「30〜40代をターゲットにした大型サイズパックを拡大する」などが挙げられた。
(2) 食肉専門店
牛肉では、1位(57%)が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」、2位(56%)が「低級部位や切り落としを増やす」、3位(46%)が「総菜や味付け肉の強化」となった(図13)。
豚肉では、1位(56%)が「総菜や味付け肉の強化」、2位(48%)が「低級部位や切り落としを増やす」、3位(35%)が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」となった。
鶏肉では、1位(62%)が「総菜や味付け肉の強化」、2位(30%)が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」、3位(15%)が「少量パックの充実」となった。
具体的な対応としては、「物価高騰対策として、お得パックや調理法の提案に注力し、売り上げを伸ばしたい」、「世帯人数の減少による個食化に対応した少量パックなどの少量販売の強化」、「焼き肉セットや総菜など自社製造の冷凍食品により、冷凍ギフト分野の新しい市場を開拓する」、「冷凍自動販売機で半加工品や総菜を販売して、営業時間外にも売り上げを確保する」、「COVID-19の影響のため景気後退気味であるが、人の流れはあるので地鶏など顧客ニーズに合ったアイテムを増やしていきたい」などのほか、食肉専門店の強みを生かすものとして、「ここ数年、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の効果的な運用などで順調に客数を伸ばしてきた。今後は、原点に戻り対面販売の良さを生かした丁寧な接客を心掛けて、顧客の満足度を上げたい」という意見も挙げられた。