肥育牛価格、前年同月比16.3%高
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年11月のフィードロット導入頭数は192万5000頭(前年同月比2.1%減)とわずかに減少し、出荷頭数は189万1000頭(同1.2%増)とわずかに増加した。この結果、22年12月1日時点のフィードロット飼養頭数は1145万4000頭(同4.4%減)と3カ月連続で前年同月を下回るなど、下げ幅が拡大した(図1)。飼養頭数が減少し、肥育牛の供給量が限られる一方、需要は堅調を維持しており、22年11月の肥育牛価格は100ポンド当たり156.00米ドル(1キログラム当たり460円:1米ドル=133.70円
(注)、前年同月比16.3%高)と高値で推移している(図2)。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年12月末TTS相場。
10月の牛肉輸入量、前年同月比11.0%減
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年10月の牛肉輸入量は11万8378トン(前年同月比11.0%減)とかなり大きく減少した(表1)。輸入先別に見ると、低関税輸入枠(6万4805トン)のほとんどを自国のみで消化したブラジルは大幅な減少となっている。また、豪州やニュージーランドは、干ばつや労働者不足による生産量の低迷や物流の混乱がある中で、牛肉需要が旺盛なアジア向け輸出の増加により米国向けは減少している。22年1〜10月の累計では、131万6555トン(同4.5%増)とやや増加しており、米国内での旺盛な需要や生産能力の向上などを背景に、輸入量の半分を占める輸入先上位2カ国のカナダ、メキシコが前年同期を上回っている。
10月の牛肉輸出量、前年同月比9.7%増
USDAによると、2022年10月の牛肉輸出量は13万6569トン(前年同月比9.7%増)とかなりの程度増加し、10月としては過去最高を記録した(表2)。輸出先別に見ると、韓国、中国、フィリピン向けが前年同月を大幅に上回り、日本向けは2万7747トン(同0.2%増)と前年同月並みとなった。旺盛な需要を背景に、引き続きアジア向け輸出が好調で、全輸出量の7割以上を同地域が占めている。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急拡大が続く中国向けの増加についてUSDAは、eコマース(電子商取引)の普及などによる中流層からの家庭内需要の増加が一因と分析している。
(調査情報部 伊藤 瑞基)