繁殖雌豚頭数、5月以降は増頭傾向
中国農業農村部によると、2022年10月末時点の繁殖雌豚頭数は前年同月比0.7%増、前月比0.4%増の4379万頭となった(図1)。同頭数は22年5月以降、増加傾向で推移し、アフリカ豚熱による減少から回復した昨年の水準に近付いている。なお、同部が最適な繁殖雌豚頭数としている約4100万頭と比較すると、現在の規模は6.8%上回っている状況にある。
豚と畜頭数は引き続き前年を下回る
中国国内の豚と畜頭数は、2022年5月以降おおむね減少傾向で推移している(図2)。22年10月の同頭数は2097万頭(前年同月比30.6%減)と前月並みであった。しかし、前年同月比で見ると、アフリカ豚熱の影響からの立ち直りによりと畜頭数が多かった前年の7割程度にまで減少した。
豚肉価格は上昇傾向も11月中旬から下落に転じる
豚肉価格および子豚価格は、2022年第2四半期(4〜6月)からともに上昇傾向にある(図3)。子豚価格は7月以降おおむね横ばいで推移し、11月は前月比0.9%高の1キログラム当たり46.0元(888円:1元=19.31円
(注))となった。また、豚肉価格はわずかながら上昇しており、11月は同2.4%高の同40.6元(784円)となった。ただし、子豚価格、豚肉価格は11月中旬以降、ともに下落に転じている。この動きに対して現地では、供給面では中国政府による豚肉国家備蓄の市場放出の効果や大規模生産者からの円滑な出荷が行われる一方、需要面ではCOVID-19の影響により消費が後退しているためとされている。また、価格上昇を期待し、出荷を遅らせていた中小規模の生産者が、価格下落を見越して出荷を加速させていることも一因とする意見も出ている。
国家発展改革委員会などは、9月から合計7回にわたり豚肉の備蓄放出を実施し、11月4日の実施が最後となっている。12月以降、生体豚価格の急激な低下が見られることから、同委員会などは今後の価格動向によっては備蓄再開も視野に入れ始めているとしている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年12月末TTS相場。
22年1〜11月の豚肉輸入量は引き続き大幅減も8月以降は増加基調
2022年1〜11月の豚肉輸入量は、154万4338トン(前年同期比54.7%減)と大幅に減少した(表)。アフリカ豚熱の影響から回復途上にあった昨年上半期ほどの輸入需要はないものの、8月以降の輸入量は増加基調にある。11月単月の輸入量は、前月比15.9%増の17万9175トンと22年の月間輸入量としては最大となった。同国では12月以降、COVID-19関連の規制緩和が進み、感染者が急増する中で豚肉価格が下落に転じている状況にあり、今後の輸入量の動向が注目される。
(調査情報部 海老沼 一出)