22年11月の生乳生産量、前年同月割れも回復の兆し
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2022年11月の生乳生産量は283万3700トン(前年同月比1.7%減)とわずかに減少し、5カ月連続で前年同月を下回った(図1)。ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、11月単月としては、直近10年間で過去最低水準にあるものの、春季終盤に当たる22年10月下旬から11月にかけて天候が改善し、牧草の生育状況も回復したことで、減少幅は縮小したとしている。
NZ国立水・大気研究所(NIWA)の今後の天候予測によると、夏季(12月〜翌2月)の気温は、酪農主産地の大部分で「平年並み」または「平年以上」と見込まれている。また、NZXは、春季終盤に続いた好天を受けて、12月末時点の牧草の生育状況が前年同時期と比べ良好であることから、今後の生乳生産は回復に向かう兆しが見え始めているとしている。
22/23年度の乳製品輸出額、過去最高の見込み
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年11月の乳製品輸出量は、全粉乳を除く主要3品目が前年同月を上回った(表、図2)。特に脱脂粉乳は、主要輸出先であるインドネシアやフィリピンなどの東南アジア向けが大幅に増加したことで、全体でも大幅に増加した。また、バターおよびバターオイルは、最大の輸出先である中国向けをはじめ、豪州および日本向けがそれぞれ増加したことで全体でも大幅に増加し、22年2月から10カ月連続で前年同月を上回った。
第一次産業省(MPI)の12月1日の公表
(注1)によると、22/23年度(7月〜翌6月)の乳製品輸出額は、233億NZドル(2兆22億円:1NZドル=85.93円
(注2)、前年比6.0%増)と見込まれ、米ドル高で推移する為替相場や豪州などの主要輸出地域の供給減を背景に過去最高を記録するとしている。
(注1)Situation and Outlook for Primary Industries December 2022
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年12月末TTS相場。
GDT価格、主要4品目すべてで下落
2022年12月20日に開催されたGDT
(注3)の1トン当たりの平均取引価格は、市場アナリストらの当初予測に反し、主要4品目すべてにおいて前回開催(12月6日)を下回った(図3)。全乳製品の平均価格は、ウクライナ情勢の悪化や中国での乳製品需要の低迷などから22年3月以降は下落傾向で推移していた。しかし、直近では2回連続で上昇したため、市場は底を打ったという見方も出ていたが、下げ圧力が予想以上に強いことを示す結果となった。市場アナリストらは今回の結果を受けて、GDT価格は、今後数カ月間横ばいが続くと見込んでいる。
(注3)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(調査情報部 工藤 理帆)