ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は12月8日、2022/23年度第3回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量は下方修正も2年連続で過去最高記録を更新する見込み
2022/23年度トウモロコシ生産量は、前回より56万9600トン少なく2回続けて下方修正されたものの、1億2582万7700トン(前年度比11.2%増)と前年度をかなり大きく上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった21/22年度の生産量を更新すると見込まれている。
全生産量の4分の1弱を占める第1期作の生産量は、前回より92万7100トン下方修正されたものの、2722万6200トン(同8.8%増)と前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。これは、昨年度、ラニーニャ現象の影響で深刻な降水量不足に陥り作物に大きな被害が発生した南部で生産量が大幅に回復するためである。ただし、全体の作付面積は、南東部、中西部および南部を中心として同2.8%減と前年度をやや下回った。
州別に見ると、主生産地である南部のリオグランデドスル州では作付面積の86%で
播種が行われ、生産量は512万7900トン(同76.8%増)と前年度の落ち込みから大幅に回復すると見込まれている。ただし、同州では、11月初めに降霜による被害が報告されており、今回、70万2600トン下方修正された。また、全体の4分の3程度を占める第2期作の生産量は前回と変更なく、9627万1200トン(同12.1%増)と前年度をかなり大きく上回ると見込まれている。作付面積、単収とも前年度を上回り、同国のトウモロコシ全体の生産量増加につながっている。
22/23年度の需給状況を見ると、生産量が増加する中、国内消費量(同7.7%増)、輸出量(同8.4%増)とも増加する一方で、期末在庫量は971万2300トン(同35.1%増)と大幅に増加すると見込まれている。
大豆生産量は前年度比22.2%増と前年度の落ち込みから大幅に回復する見込み
2022/23年度の大豆生産量は、前回より下方修正されたものの、1億5347万7600トン(前年度比22.2%増)と前年度を大幅に上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった20/21年度の記録を更新すると見込まれている。これは、生産者の作付意欲が強いことで作付面積が同4.6%増となることに加え、前年度に深刻な降水量不足で大きな被害を受けた南部3州および中西部のマットグロッソドスル州で生産量が回復するためである。
州別で見ると、最大の生産州である中西部のマットグロッソ州では播種が終了した。牧草地からの転作により作付面積が増加(同6.3%増)する一方で、一部の地域において高温や不規則な降雨による作物への影響が見られ、生産量は前年度並みになると見込まれている。また、南部のパラナ州やサンタカタリーナ州では、10月に大雨、低温の気候に見舞われたものの、生育状況はおおむね良好である。
22/23年度の需給状況を見ると、国内での加工量が前回より75万6400トン下方修正された。これは、ディーゼル油に対するバイオディーゼル油の混合比率義務を23年3月31日まで10%に維持するという政府の決定を反映したものである。
(調査情報部 井田 俊二)