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海外需給動向【飼料穀物/中国】畜産の情報 2023年2月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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国産トウモロコシ価格、川下需要の改善から安定的に推移と予想
 中国農業農村部は12月21日、「農産物需給動向分析月報(2022年11月)」を公表した。この中で、2022年11月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに上昇した(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、生産者の多くは市場価格の動きを見つつ、国内市場への供給量を増やしているが、需要は好調とされている。これは、生体豚価格が堅調(注1)なことからトウモロコシの実需者である養豚業の飼料需要が高く、供給する飼料企業の多くは収支が改善し、工場稼働率の回復からトウモロコシ需要が高まっているためであり、需給はややひっ迫傾向にあるとされている。他方で、23年の春節(23年1月22日)は例年より時期が早いため、春節前のトウモロコシ取引が集中する期間は短くなり、価格の上昇はあるものの、短期的には価格は安定して推移すると見込まれている。

(注1)2022年11月時点。

 
 各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、22年11月が1キログラム当たり3.22元(62円:1元=19.31円(注2))と前月から下落した。同年3月以降、国産価格を上回って推移していた同価格は、5月をピークに下落し、国産と輸入の価格差は縮小したが、米国でのトウモロコシ減産予測などもある中で一転して反発していた。同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)同2.98元(58円)に比べて同0.24元(5円)高となり、国産と輸入との価格差は再び縮小している。

国産大豆価格、需給の緩みも若干の下落と予想
 2022年11月の国産大豆価格は、前月からわずかに下落した(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、今期の国産大豆の生産量は前年に比べて多い中で、川下の需要は緩慢な状況にあるとされている。これは、備蓄用大豆の購入価格が一定水準に抑えられていることに加え、中国各地でのCOVID-19の拡大などに伴い、外食需要などが大きく落ち込んでいることも影響しているとみられる。このため、当面の需給は緩和傾向が続くとされているものの、大きな下落にはならず同価格は軟調に推移すると見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、11月が1キログラム当たり5.78元(112円、前年同月比5.7%高)と高い水準で推移している。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.34元(122円、同1.6%高)と同じく高い水準にある。国産大豆と輸入大豆との価格差は、国産大豆価格が下落する一方で、大豆国際相場の上昇から縮小し、1キログラム当たり0.70元(14円)となった。
 このような中で、大豆の輸入量は引き続き高い水準で推移しているが、記録的な輸入量となった前年からは減少している。22年(1〜10月)の輸入量は7319万トン(前年同期比7.5%減)、輸入額は世界的な穀物相場高の影響から同14.4%増の493億4500万米ドル(6兆5974億円:1米ドル=133.70円(注2))と報告されている。

(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2022年12月末TTS相場。


(調査情報部 横田 徹)