肥育牛価格、例年を上回って推移
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年1月1日時点のフィードロット飼養頭数は1168万2000頭(前年同月比2.9%減)とやや減少し、4カ月連続で前年同月を下回った。同省経済調査局(USDA/ERS)によると、肥育牛の供給不足が続く中、22年12月の肥育牛価格は100ポンド当たり156.25米ドル(1キログラム当たり452.88円:1米ドル=131.47円
(注)、前年同月比11.5%高)と高騰が続いている(図1)。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年1月末TTS相場。
22年と畜頭数、干ばつの影響などにより前年を上回る
USDA/NASSによると、2022年12月の牛と畜頭数は263万6700頭(前年同月比4.9%減)とやや減少した(図2)。これは、年末に北米が記録的な寒波に見舞われた中で、食肉加工場の稼働日が減少したことが要因とされる。また、22年全体のと畜頭数は、長引く干ばつによる飼料費の高騰などにより3366万4500頭(前年比1.4%増)と前年を上回った。内訳を見ると、去勢牛が1581万400頭(同2.1%減)と減少し、未経産牛が1029万1800頭(同4.8%増)、経産牛が699万7900頭(同4.9%増)とそれぞれ増加した。こうした中、と畜頭数の増加などにより22年の牛肉生産量は1283万2300トン(同1.2%増)と前年を上回ったが、繁殖雌牛の
淘汰が進んだことから、23、24年の牛肉生産量の減少が予想される。
22年11月の牛肉輸出量、為替の影響などにより前年同月を下回る
USDA/ERSによると、2022年11月の牛肉輸出量は12万5666トン(前年同月比6.1%減)とかなりの程度減少し、カナダやフィリピンを除いた主要輸出先がいずれも前年同月を下回った(表)。中でも日本向けは2万7938トン(同10.1%減)と米ドル高による米国産牛肉の価格上昇もあり、かなりの程度減少した。一方、22年1〜11月の累計では148万3316トン(前年同期比4.0%増)と前年増を維持している。米国食肉輸出連合会(USMEF)のホルストロム会長は、「主要輸出先の為替相場の影響で輸入業者などは米国産牛肉の購入を抑えているが、11月上旬以降は米ドルが下落傾向にあるため、現時点の米国産牛肉の需要は比較的堅調である」として、23年の牛肉輸出に対し前向きな見通しを示した。
(調査情報部 伊藤 瑞基)