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海外需給動向【牛肉/NZ】畜産の情報 2023年3月号

と畜頭数の増加を受け22/23年度の牛肉生産量、輸出量ともに前年度を上回る見通し

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22年11月の牛と畜頭数、過去最高を記録
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2022年11月の牛と畜頭数は25万8000頭(前年同月比7.5%増)とかなりの程度増加し、同月実績では1981年の統計以降、過去最高を記録した(図)。また、と畜頭数の内訳を見ると、去勢牛(8万頭、同9.6%増)、雄牛(7万1000頭、同1.4%増)、経産牛(4万2000頭、同20.0%増)、未経産牛(6万5000頭、同4.8%増)のすべてで増加した。

 
 これは、近年のアジア各国での旺盛な牛肉需要に加え、主要牛肉輸出国である豪州での牛群再構築に伴う牛肉供給量の減少などが背景にある。このため、NZ産牛肉への需要が高まっており、国内の肉用牛飼養頭数も増加基調にある。Stats NZによると、22年6月末時点の肉用牛飼養頭数は、384万1800頭(推計値、同3.1%減)と前年同月をやや下回ったものの、直近5年間の平均飼養頭数(381万5000頭)を0.7%上回り、増加傾向が続いている。

22年12月の牛肉輸出量、中国を除く主要5カ国向けが増加
 Stats NZによると、2022年12月の牛肉輸出量は4万8499トン(前年同月比8.0%増)と前年同月をかなりの程度上回った(表1)。内訳は、冷蔵牛肉が3128トン(同22.0%減)、冷凍牛肉が4万5371トン(同11.0%増)となった。輸出先別に見ると、中国は引き続き最大の輸出先となったが、同国でのCOVID-19の拡大やそれに伴う規制などにより、主要需要者である外食産業が大きく影響を受けたことで、冷蔵品、冷凍品ともに減少した。一方、輸出先第2位の米国では、食料価格の高騰を受けてより安価なひき肉需要が増加傾向にあり、これに対応可能なNZ産牛肉への引き合いが強まったとみられる。また、コロナ禍からの経済回復を受けて日本をはじめ、韓国および台湾などのアジア圏からの引き合いが強まった。

 
22/23年度の牛肉輸出量、堅調に推移する見込み
 ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)が公表した「New Season Outlook 2022-23」の見通しによると、2022/23年度(10月〜翌9月)の輸出向け牛と畜頭数は、269万1000頭(前年度比1.2%増)とわずかな増加が見込まれている(表2)。また、牛肉生産量も68万6000トン(同0.7%増)とわずかな増加が見込まれ、牛肉輸出量も46万8000トン(同0.6%増)と堅調に推移すると見込まれている。一方、輸出額については、(1)輸出競合国である豪州産(牛群再構築の完了)やブラジル産(好天による容易な飼料確保)の供給量増加に伴う輸出競争の激化(2)米ドル高で推移する為替相場の緩和−などから、前年並みで推移すると見込まれている。

 
(調査情報部 工藤 理帆)