畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > と畜頭数の減少などから、22年の豚肉生産量はわずかに減少の見込み

海外需給動向【豚肉/カナダ】畜産の情報 2023年3月号

と畜頭数の減少などから、22年の豚肉生産量はわずかに減少の見込み

印刷ページ
22年の豚肉生産量、前年比2.6%減
 カナダ農務・農産食品省(AAFC)によると、2022年の豚と畜頭数は2165万頭(前年比0.8%減)と2年連続で前年を下回った(図1)。カナダでは、コロナ禍以降の労働者不足などから食肉処理加工施設の稼働率が低下しており、これが減少の要因とされている。現地報道によると、労働者の短期離職率が高く、十分な人手確保が困難な状況が続いていることから、一部の施設では処理加工工程の大部分を自動化するなど、機械化の動きが進んでいる。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、22年のカナダの豚肉生産量は、と畜頭数の減少などにより206万5000トン(前年比2.6%減)とわずかに減少すると見込まれている。

 
22年の生体豚輸出頭数、前年同月比4.7%減
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2022年11月の米国向け生体豚輸出頭数は、54万8330頭(前年同月比0.6%減)と6カ月連続で減少した(図2)。この結果、22年累計では635万頭(前年比4.7%減)と前年を下回ると見込まれている。また現在、最大の輸出先である米国では、母豚の飼育環境の規制強化に関するカリフォルニア州法第12号の施行が停止されており(注)、今後、同法が可決・適用された場合には、米国向け生体豚輸出の大幅な減少が懸念されている。

(注)海外情報「母豚飼養基準などに関するカリフォルニア州法を巡る裁判、口頭弁論を開催(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003383.html)を参照されたい。

 
22年11月の豚肉輸出量、前年同月比13.1%減
 カナダ統計局によると、2022年11月の豚肉輸出量は、7万9800トン(前年同月比13.1%減)とかなり大きく減少した。また、22年1〜11月の累計では、100万1100トン(前年同期比3.8%減)とやや減少した(表)。輸出先別に見ると、米国向けは、同国の需要が旺盛な中で生産量が減少していることなどから、30万9400トン(同20.4%増)と大幅に増加している。中国向けは、11月単月では大幅に増加したものの、カナダの一部施設を対象とした輸入停止措置による影響などから、累計では14万6400トン(同39.7%減)と大幅に減少している。また、日本向けもカナダドル高で推移した為替相場の影響から、累計では17万2200トン(同8.8%減)とかなりの程度減少している。 

 
(調査情報部 伊藤 瑞基)