22年12月の乳価は堅調に推移
米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、2022年12月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり24.7米ドル(1キログラム当たり71.59円:1米ドル=131.47円
(注1)、前年同月比13.3%高)となり、前月比では下落したものの、高水準で推移している(図1)。現地報道によると、生乳生産量が増加していることや、乳製品の国内需要が低下していることもあって、今後数カ月の乳価は下落基調が見込まれるとしている。また、飼料費も高水準で推移しているが、乳価の上昇幅がそれを上回ったことから、同月の酪農マージン
(注2)は同2.4%増の同9.76米ドル(同28.29円)とわずかに増加した。
(注1)三菱USJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2023年1月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補塡が発動される。
生乳生産量は4カ月連続で前年を上回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2022年12月の乳用経産牛飼養頭数は940万頭(前年同月比0.3%増)と4カ月連続で前年同月を上回って推移している(図2)。
同年12月の生乳生産量は、飼養頭数および1頭当たり乳量の増加を背景に858万8000トン(同0.8%増)とわずかに増加し、6カ月連続で前年同月を上回った(図3)。また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、23年の予測として、乳価が下落するものの高水準を維持することから、飼料費の上昇が見込まれる中においても、乳用経産牛飼養頭数は22年後半の水準を維持する940万500頭とされている。
乳製品輸出量は増加傾向
USDA/ERSによると、2022年11月の主要乳製品輸出量は好調に推移し、脱脂粉乳を除いていずれも前年同月を上回った(表)。
品目別に見ると、チーズ(前年同月比12.9%増)は主要輸出先であるメキシコ、日本、オーストラリアなどでの需要増加を受け、17カ月連続で前年同月を上回った。また、ホエイ(同17.4%増)およびWPC(タンパク質濃縮ホエイ、同32.1%増)については、国内需要が低迷する中、中国からの飼料用需要により大幅に増加した。ただし、11月下旬には中国国内の豚肉価格が下落しており、米国乳製品輸出協会(USDEC)によると、ホエイおよびWPCの輸出は今後鈍化する可能性もあるとしている。
(調査情報部 小林 大祐)