OECD農業大臣会合は、前年の国連食料システムサミットの流れを受け、翌週に気候変動枠組条約COP27、翌月に生物多様性条約COP15を控える中で行われました。2015年のSDGsの採択を受け、持続可能性や食料システムの考え方は今やあらゆる農業・食料関係の国際的な議論の主流となっています。一方で、環境に偏りがちな持続可能性の課題を生産性の向上や所得向上の課題とどのように両立させていくかが、農業関係者が直面する課題です。食料システムの考え方では、各国の自然条件や作目の違いに着目し、有効な解決策は、各国の置かれた事情の違いに応じて各国が最適な施策を講じるべきとされています。
我が国は、2023年にG7議長国を務め、4月には宮崎で農業大臣会合の開催を予定しています。「みどりの食料システム戦略」を推進する我が国には、今回のOECD会合の成果を基礎に、世界の食料・農業の持続的な発展に向け、議論をリードすることが期待されています。
2022年第15回OECD農業大臣会合における閣僚宣言のポイント
・持続可能な開発目標に整合する形で、飢餓、栄養不良の撲滅、持続可能な生産性向上、食品ロス・廃棄の削減に取り組む。
・不当な輸出規制など、世界の食料安全保障を損なう、不当な貿易制限措置を課さない。
・持続可能な生産性の向上を促進し、気候変動の緩和と適応に関する解決策を提供できる研究、イノベーション、普及サービスに投資する。
・畜産が土壌の管理、生物多様性及び生計にプラスの貢献が可能なことを認識しつつ、動物の健康と福祉に害を及ぼすような畜産物の 生産や生産方法による環境への負の影響を軽減する。
・OECDに対し、環境に有害及び有益な支援策を精査し、根拠に基づく分析を行い、環境に与える影響を改善するための改革を支援するよう求める。
(プロフィール)
大阪府出身
平成11年 農林水産省入省(林野庁林政課)の後、水産庁水産経営課等、米国タフツ大学フレッチャー校留学(法律外交学修士)、生産局特産振興課、水産庁管理課等を経て、
28年 生産局畜産部畜産振興課補佐
同年 同 企画課併任
29年 大臣官房国際部国際戦略グループ補佐
令和 1年 同 調査官
2年 同 国際交渉官
3年12月 国連食糧農業機関ローマ本部勤務
4年7月 輸出・国際局国際交渉官(現職)