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国内需給動向【令和4年の牛および豚枝肉の格付結果】畜産の情報 2023年3月号

令和4年の牛および豚枝肉の格付結果

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 公益社団法人日本食肉格付協会は、令和4年(1月〜12月)の「牛枝肉格付結果(品種別・性別)」および「豚枝肉格付結果」(令和5年1月20日版)を公表した。
 牛枝肉の格付実施率は、成牛のと畜頭数(108万3115頭)に対して84.2%と、前年から0.8ポイント減少した一方、豚枝肉の格付実施率は、と畜頭数(1657万9075頭)に対して77.3%と前年から0.5ポイント増加した。以下、畜種ごとの格付結果を紹介する。

【牛肉】「A−5」の格付頭数は3年連続で15等級の中で最多に

 4年の牛のと畜頭数は108万3115頭と前年比3.0%増加した。品種別に見ると、和牛は49万147頭(同1.5%増)、交雑牛は24万8650頭(同8.6%増)、乳用牛は33万1121頭(同1.8%増)、外国種などを含むその他の牛は1万3197頭(同6.6%減)となった。
 このような中、同年の牛枝肉の総格付頭数は、同年の成牛のと畜頭数が増加(前年比3.0%増)となったことから、91万1957頭(同2.0%増)と前年をわずかに上回った。品種別の格付頭数を見ると、「和牛」(47万1558.5頭)は前年比1.4%増、「交雑牛」(23万4664頭)は同8.5%増と前年を上回った一方、「乳用牛」(19万2099.5頭)は同3.1%減、「その他の牛」(1万3635頭)は同6.7%減と前年を下回った。
 牛肉は、「歩留等級(A〜C)」と「肉質等級(5〜1)」を組み合わせた15段階で格付されている。歩留等級とは、枝肉から得られる部分肉の割合を評価し、部分肉歩留が標準より良いものはA、標準のものはB、標準より劣るものはCと判定される。また、肉質等級とは、(1)脂肪交雑(サシ)(2)肉の色沢(3)肉の締まりおよびきめ(4)脂肪の色沢と質−の4項目を5段階で評価し、四つの項目中、最も低い等級が肉質等級として判定される。
 4年の国産牛全体における等級ごとの格付頭数の推移を見ると、「A−5」が24万7628.5頭(前年比14.0%増)と前年をかなり大きく上回り、3年連続で15等級の中で最多となった。全体に占める割合は、27.2%となり、前年から2.9ポイント増加した(図1)。「A−5」の内訳をみると、和牛去勢が63.6%、和牛めすが35.2%と、和牛で約99%となっている。
 「A−5」に次いで多い「B−2」は、平成25年をピ−クに減少が続いており、15万6014頭(前年比2.4%減)と前年をわずかに下回った。「B−2」のうち約5割を乳用牛去勢が占めており、乳用牛のと畜頭数の減少が「B−2」の格付頭数の減少の主な要因の一つとみられる。


 歩留等級別の格付構成比を見ると、全体に占める「A等級」の割合は50.2%と、平成25年と比較すると6.6ポイント増加した(図2)。また、肉質等級別の格付構成比を見ると、全体に占める「5等級」の割合は27.7%と25年から18.2ポイント増加した一方、「4等級」は25年から0.1ポイント減少の20.3%とほぼ横ばいとなった(図3)。



 
 品種別・性別の格付頭数を見ると、和牛去勢が26万3846.5頭(同0.7%増)と最も多く、次いで和牛めすが20万7527頭(同2.3%増)、乳用牛去勢が13万6454頭(同8.6%減)、交雑牛去勢が12万4452頭(同9.1%増)、交雑牛めすが11万194.5頭(同7.8%増)となった(図4)。
 なお、品種別の割合は、和牛が51.7%(同0.3ポイント減)、交雑牛が25.7%(同1.5ポイント増)、乳用牛が21.1%(同1.1ポイント減)、その他の牛が1.5%(同0.1ポイント減)となった。


 4年の品種別・性別ごとの格付構成割合を見ると、和牛去勢は、「A−5」が59.7%と、前年から6.4ポイント増加した一方、「A−4」は28.2%と同4.1ポイント、「A−3」は7.2%と同1.5ポイントそれぞれ減少した(図5)。

 
 また、和牛去勢全体に占める「A等級」の割合は、96.3%(同0.8ポイント増)となった。
 交雑牛去勢は、「B-3」が最も多く、36.0%と前年から0.8ポイント、「B-2」も20.1%と同1.2ポイントそれぞれ減少した一方、「B-4」は15.7%と同1.0ポイント増加した(図6)。
 また、平成25年以降の推移から、より上位の格付結果が増加している傾向が見てとれる。

 
 乳用牛去勢は、「B−2」が最も多く、52.6%と同1.4ポイント増加した一方、「C−2」は43.5%と同1.4ポイント減少した(図7)。平成28年以降、「B−2」は減少傾向で推移しているのに対し、「C−2」は増加傾向で推移している。

 

【豚肉】4年の格付構成比、「上」が48.6%、「中」が34.6%

 豚肉は、枝肉の重量および背脂肪の厚さ、外観(均称、肉づき、脂肪付着、仕上げ)、肉質(肉の締まりおよびきめ、肉の色沢、脂肪の色択と質、脂肪の沈着)の基準に照らして、「極上」、「上」、「中」、「並」、「等外」の5等級に格付される。
 4年の豚枝肉の総格付頭数は、1281万7394頭(前年比0.9%減)と前年をわずかに下回った。等級別の格付頭数を見ると、「上」が622万9418頭(前年比1.0%減)と最も多く、次いで「中」が443万4715頭(同1.1%減)、「並」が155万993頭(同0.4%減)、「等外」が50万3607頭(同0.6%減)、「極上」は9万8661頭(同1.0%減)となった(図8)。
 

 4年の等級別の格付構成比を見ると、「上」が48.6%(前年同)と最も多く、次いで「中」が34.6%(同0.1ポイント減)、「並」が12.1%(同0.1ポイント増)、「等外」が3.9%(前年同)、「極上」が0.8%(前年同)となり、構成比に大きな変化は見られなかった(図9)。

 
(畜産振興部 大内田 一弘)