23年1月の牛総飼養頭数は前年比3.0%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年1月のフィードロット導入頭数は193万2000頭(前年同月比3.6%減)とやや減少し、出荷頭数は184万7000頭(同4.2%増)とやや増加した。この結果、23年2月1日時点のフィードロット飼養頭数は1170万4000頭(同4.1%減)と前年同月をやや下回った(図1)。
USDA/NASSが半年に一度公表する「Cattle」によると、23年1月1日時点の牛総飼養頭数は8927万4000頭(前年比3.0%減)となった(表1)。これは、1962年以来最少の頭数となった。また、22年から続く干ばつにより繁殖雌牛の
淘汰が進んだことで、肉用繁殖雌牛(経産牛)の飼養頭数は同3.6%減、肉用繁殖後継牛(未経産牛)は同5.8%減となっている。23年の総飼養頭数見通しについてUSDAは、干ばつと飼料価格の高騰が牛群拡大の障壁になると述べ、年間を通じて引き続き総飼養頭数の減少が見込まれるとしている。
23年1月の肥育牛価格は高値で推移
USDA/NASSによると、2023年1月の牛と畜頭数は282万7900頭(前年同月比6.8%増)とかなりの程度増加した。また、同月の牛肉生産量は105万5100トン(同2.6%増)と前年同月をわずかに上回った。と畜頭数はかなりの程度増えたものの、寒波による生育不良や早期と畜により、同月の平均枝肉重量が同1.9%減少したことから、生産量はわずかな増加にとどまった。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同月の肥育牛価格は100ポンド当たり155.76米ドル(1キログラム当たり471.58円:1米ドル=137.33円
(注))と、前月から0.86米ドル下落したものの、堅調に推移した(図2)。肥育牛の供給不足が続く中、平均枝肉重量の低下も価格を支えているとみられる。
(注) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年2月末TTS相場。
22年12月の牛肉輸出量は韓国向けが大幅増
USDA/ERSによると、2022年12月の牛肉輸出量は12万742トン(前年同月比7.0%減)とかなりの程度減少した(表2)。輸出先別に見ると、韓国向け(同20.4%増)が大幅に増加したものの、中国(同36.5%減)を含む多くの輸出先で前年同月を下回った。米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、韓国では実店舗・Eコマースの双方で牛肉の小売需要が増加した一方、中国では新型コロナウイルスの感染者数が増加したこともあり、消費が伸び悩んだためと分析している。こうした中、22年1〜12月の累計輸出量は、160万4058トン(前年比3.1%増)と過去最高を記録した。23年の輸出量についてUSDAは、牛肉生産量の減少により供給不足と価格上昇が見込まれることや、豪州産牛肉との競合が見込まれることなどから、前年比12.6%減の140万2000トンと予測している。
(調査情報部 小林 大祐)