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海外需給動向【豚肉/中国】畜産の情報 2023年4月号

11月中旬に下落に転じた豚肉価格、急速に値を下げる

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繁殖雌豚頭数、22年5月以降は増頭傾向
 中国農業農村部によると、2022年12月末時点の豚総飼養頭数は4億5256万頭(前年同月比0.7%増)となり、18年からのアフリカ豚熱発生の影響以降では最多を記録した(図1)。また、繁殖雌豚頭数も4390万頭(同1.4%増)となった。一方で、同部が最適な繁殖雌豚頭数としている4100万頭程度と比較すると、7.1%上回っている状況にある。

 
22年の豚と畜頭数、年末の急増から前年を上回る
 中国国内の豚と畜頭数は、2022年末に大きく伸びを見せ、同年の総と畜頭数(一定規模以上のと畜場)は2億8538万頭(前年比7.8%増)と前年をかなりの程度上回った(図2)。同年下半期は豚肉価格が高水準で推移したことで、大手生産者を中心に積極的な出荷促進が図られたが、11月中旬以降、豚肉価格が下落に転じたことで、中小規模の生産者を中心にさらなる価格の下落懸念から、出荷を加速する動きがあったとされている。

 
価格の下落から国家備蓄による買入れを実施
 豚肉価格および子豚価格は、2022年11月からともに下落に転じている。23年1月の子豚価格は、前月比15%安の1キログラム当たり34.9元(694円:1元=19.88円(注))となった。また豚肉価格も、同17.1%安の同29.8元(592円)となった(図3)。前述の通り価格下落を懸念した生産者が出荷を加速させたことに加え、COVID-19による需要の低下も一因となった。1月下旬の春節時期には、COVID-19の感染も収束に向かったことで消費も回復し、豚肉価格の下落は一時的に鈍化した。しかし、春節後は需要が落ち着くため、例年の動きと同様、さらに値を下げている。

 
 現地報道によると、豚肉価格の下落を受けて国家発展改革委員会などは2月24日、国家備蓄による豚肉2万トンの買い入れを実施した。また、同時に各地方政府に対しても豚肉買い入れの実施を指示している。これらの措置などにより、3月上旬に入り豚肉価格は上昇に転じたとされている。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年2月末TTS相場。

22年の豚肉輸入量は前年から大幅減
 2022年の豚肉輸入量は、174万3540トン(前年比51.2%減)と大幅に減少した(表)。同年下半期には国内豚肉価格の高騰から輸入数量の増加が見られたものの、アフリカ豚熱の影響から回復途上にあった21年上半期ほどの勢いはなく、前年を大幅に下回った。

 
(調査情報部 海老沼 一出)