22年の家きん肉生産量は前年比増、原種鶏の輸入減の影響は残る見込み
中国国家統計局によると、2022年の家きん総出荷羽数は161億4000万羽(前年比2.5%増)、生産量は2443万トン(同2.6%増)となり、おおむね安定的な生産が継続している。一方で、今後の鶏肉生産に関して現地報道によると、世界的なHPAI発生の影響から原種鶏の輸入羽数が縮小していることで、国内の原種鶏の供用期間が長期化しているため、原種鶏全体の産卵率の低下により種鶏の供給量が低下しているとされる。
直近の米国農務省海外農業局(USDA/FAS)の見通しによると、22年の中国の鶏肉生産量
(注1)は前年比2.7%減の1430万トンとされ、23年も同程度の生産量が見込まれている(表1)。また、昨今のHPAIの発生により原種鶏の供給に支障が出ていることで、23年の鶏肉生産にも影響を及ぼすとみられている。
(注1)同国では、家きん肉生産量のうち約6割が鶏肉であるとされている。鶏肉の生産割合については、『畜産の情報』2020年5月号「中国の肉用鶏産業の現状と鶏肉需給の見通し」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001123.html)図2を参照されたい。
鶏肉価格は22年末から下落傾向
中国農業農村部によると、2023年2月第3週の鶏肉市場価格は、1キログラム当たり24.5元(487円:1元=19.88円
(注2)、前年同期比7.1%高)となった(図)。豚肉価格が高騰していた22年下半期は、代替需要などから鶏肉も同様に高値で推移していたものの、豚肉価格の下落に合わせて22年末から23年にかけて下落傾向にある。現地関係者によると、22年上半期は飼料価格の高騰などから生産環境は厳しい状況とされたが、下半期の価格の上昇を受けて多少改善したとされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年2月末TTS相場。
22年の鶏肉輸入量は大きく減少
2022年の冷凍鶏肉輸入量は、129万1724トン(前年比11.3%減)とかなり大きく減少した(表2)。この要因として、アフリカ豚熱からの回復途上にあった21年前半ほどの輸入需要がない中で、世界各地でのCOVID-19の再拡大や、輸入貨物の検疫強化、欧米など鶏肉生産地域でのHPAI発生などが影響したとされている。輸入先別に見ると、主要国が総じて減少している中で、ロシアは同7.0%増とかなりの程度増加した。
22年の鶏肉調製品輸出量は大きく増加
2022年の鶏肉調製品の輸出量は、30万5376トン(前年比13.2%増)と前年をかなり大きく上回った(表3)。世界的な経済活動の再開が進む中、HPAIの発生により鶏肉需給がひっ迫傾向となっている地域もあるとされ、中国企業の中には海外市場を開拓しようとする動きもあるという。
USDAによると、23年も引き続き、日本と香港向けが中国の主要な鶏肉調製品の輸出先となるとみられている。
(調査情報部 海老沼 一出)