23年1月の生乳生産量、減少傾向に歯止め
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2023年1月の生乳生産量は235万2000トン(前年同月比1.2%増)と21年7月以来18カ月ぶりに前年同月を上回った(図1)。ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、温暖で湿潤な天候が続いたことで、牧草の生育状況は良好としている。
一方で、2月中旬には大型サイクロン「ガブリエル」が同国を直撃し、北島の一部地域では停電や洪水が発生するなどの被害に見舞われた。NZXはこのサイクロンによる生乳生産への影響は限定的であるとしているものの、飼料用トウモロコシへの被害が懸念されるとしている。
乳製品輸出量、主要4品目が前年同月を上回る
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年1月の乳製品輸出量は、主要4品目すべてで前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳は最大の輸出先である中国向けが前年同月比で2.5倍程度増加したことで全体でも大幅に増加した。全粉乳は最大の輸出先である中国向けが前年同月を下回ったものの、主要輸出先のインドネシアやマレーシア向けが大幅に増加したことで全体ではかなりの程度増加した。また、バターおよびバターオイルは豪州、韓国、日本向けがそれぞれ同2倍程度増加したことで全体でも大幅に増加した。チーズは、最大の輸出先である中国をはじめ、主要輸出先の日本、韓国向けがそれぞれ増加したことで全体でもかなり大きく増加した。
GDT価格、バターとチーズが堅調に推移
2023年2月21日に開催されたGDT
(注)の1トン当たりの平均取引価格は、粉乳が前回開催(2月7日)を下回り、依然として下落傾向にあるものの、バターおよびチーズは堅調に推移した(図3)。特にバターは、今年の初開催時(1月3日)から9.9%上昇、チーズも8.4%上昇した。この理由について市場アナリストらは、中国でCOVID-19の関連規制が緩和されたことで、飲食店やベーカリーを中心にバターやチーズの需要が回復傾向にあるためとし、粉乳などその他の乳製品についても価格回復の波が押し寄せるであろうと推測している。
(注)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(調査情報部 工藤 理帆)