令和5年3月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり343円(前年同月比148円高)となり、前月の327円からさらに16円上昇した(図1)。
同価格は、1月と2月の差が47円増であったことと比較すると、上昇幅は小さくなったが、依然として高値で推移している。
今後の供給量については、生産コスト高に加え、昨年10月以降に発生した高病原性鳥インフルエンザ(以下「HPAI」という)により、採卵鶏の殺処分が飼養羽数の1割強に上ったことなどの影響を受けるものと見込まれている。
需要面は、5年3月にマスク着用ルールが緩和され、巣ごもりから外出、外食への意欲が高まる中、さらに大型連休を控え、行楽需要が一層期待される。その一方で相次ぐ食品の値上げが続き、外食店舗の卵メニューの減少や消費者の買い控えなど、消費への影響が今後も懸念される。
令和4年の鶏卵生産量、3年ぶりに前年比増
農林水産省が令和5年3月28日に公表した「鶏卵流通統計調査」によると、4年(1〜12月)の鶏卵生産量は259万6725トン(前年比0.9%増)と前年をわずかに上回った(図2)。
鶏卵生産量は、平成27年以降、家庭用、業務加工用ともに需要が旺盛であったことなどから、増加傾向で推移してきた。しかし、令和3年はCOVID−19の拡大やHPAIの発生の影響を大きく受け、前年を2.2%下回る257万4255トンとなった。4年は、3年同様、COVID−19やHPAIの影響はあるものの3年ぶりに前年を上回った。
4年の鶏卵の月別生産量の推移を見ると、10月以降に発生したHPAIにより、採卵鶏の減少などの影響を受けて、11、12月は前年同月を下回ったものの、全体としては前年をわずかに上回った(図3)。
過去5カ年平均比で見ると、4、8月を除き下回ったが、前年同月比で見ると、前年を上回る月が多かった。
都道府県別の上位5県の鶏卵生産量を見ると、最大の生産地は茨城県で23万1362トン(前年比7.0%増)となった(図4)。同県の生産量は令和3年の前年比が7.1%減であったが、本年は3年ぶりに増加した。第2位は鹿児島県で、17万9337トン(同2.1%減)となり、2年連続で減少した。第3位は広島県で13万6315トン(同1.2%増)となり、令和3年の前年比が4.0%減であったが、増加した。第4位は岡山県で13万3996トン(同2.6%減)となり増減を繰り返している。第5位は千葉県で12万5451トン(同17.7%増)となり、前年比が32.1%減であったが、5年ぶりに増加した。
(畜産振興部 生駒 千賀子)