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海外需給動向【牛肉/カナダ】畜産の情報 2023年5月号

雌牛を中心に総飼養頭数が減少

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22年夏の干ばつで雌牛と畜頭数が増加
 カナダ肉用牛生産者協会(CCA)の市況分析部門であるCanFaxによると、2022年のと畜頭数は前年を0.6%上回る327万9434頭となった(図)。内訳を見ると、去勢牛が178万9009頭(前年比2.7%減)、種雄牛が1万5718頭(同10.1%減)と雄牛が前年から減少した。一方で、未経産牛が100万4575頭(同5.4%増)、経産牛が47万132頭(同4.4%増)と雌牛は増加した。現地情報によると、22年夏の干ばつにより牧草の状態が不安定になったことが要因とされている。

 
総飼養頭数は前年比2.2%減
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2023年1月1日時点の牛の総飼養頭数は1127万頭(前年比2.2%減)となり、わずかに減少した(表1)。特に肉用後継牛(同4.3%減)、子牛(同3.9%減)、肉用繁殖雌牛(同2.5%減)の減少幅が大きい。前述の通り、22年は多くの雌牛がと畜に回されており、これは短期的には牛肉供給量の増加に寄与するが、長期的には牛肉生産に多大な影響を及ぼすこととなる。カナダ農業公社(FCC)は、畜産市場に関する見通しの中で、23年のカナダの牛肉生産量を前年比1.4%減と見込んでいる。

 
22年の輸出は好調
 カナダ農業・農産食料省(AAFC)によると、2022年の牛肉輸出量は51万1027トン(前年比1.4%増)、輸出額は46億7731万カナダドル(4693億6800万円:1カナダドル=100.35円(注)、前年比5.1%増)となった(表2)。当該輸出量は、02年の52万1500トンに次ぐ過去2番目に多い水準である。
 主要輸出先別に見ると、輸出量の約7割を占める米国向けは同2.0%増とわずかな増加にとどまったものの、2位の日本向けは同16.7%増、続くメキシコ向けが同13.4%増、韓国向けが同48.4%増、ベトナム向けが同32.7%増といずれも大きく増加した。21年12月のカナダ国内での非定型BSEの報告以降、中国がカナダ産牛肉の輸入を停止している中で、日本、韓国、ベトナムなどのアジア向け輸出が量・シェア(仕向け割合)ともに増加している。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年3月末TTS相場。


 
(調査情報部 上村 照子)