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海外需給動向【牛肉/豪州】畜産の情報 2023年5月号

降雨量の減少予測などを背景に、肉牛価格は下落傾向

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肉牛価格は下落傾向で推移
 肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、継続して下落傾向にある(図1)。2023年3月に入り、20年2月以来となる1キログラム当たり700豪セント(642円:1豪ドル=91.69円(注))を下回って推移しており、23年3月29日時点では同678豪セント(622円)と、この2カ月弱は過去5カ年平均の水準で推移している。
 この下落の要因について、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)の市場アナリストは、(1)(@)22年中の肉牛価格の高止まり(A)ニューサウスウェールズ州およびビクトリア州での牛群再構築の完了(B)今後の降雨量が平年以下であり牧草確保が困難になると予測されること―から肉牛購買意欲が減退していること(2)牛群再構築の完了により、最近、肉牛供給量が増加していること―を挙げている。また業界エコノミストによると、米国での干ばつに起因する牛肉生産量の増加や、豪州の食肉処理施設の労働力不足に伴う稼働率の低下も、価格下落に拍車をかけているとしている。
 

 
 豪州気象局(BOM)によると、23年4〜6月の降雨量は、豪州の大部分で平年を下回り、乾燥した気候が予測されていることから(図2)、牧草を確保できず牧草肥育業者からの需要減が見込まれるため、今後さらに肉牛価格の下落が進行する可能性がある。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年3月末TTS相場。

 
牛肉輸出量は2カ月連続の大幅増
 豪州農林水産省(DAFF)によると、2023年2月の牛肉輸出量は7万379トン(前年同月比18.3%増)と、今年に入り2カ月連続で大幅に増加した(表)。
  輸出先別では、輸出量が最も多い日本向けは1万6657トン(同2.6%増)とわずかに増加している。他方で、韓国向けは旺盛な需要を背景に1万3342トン(同26.3%増)、干ばつにより牛群規模が縮小している米国向けは1万1693トン(同29.6%増)といずれも大幅に増加した。また、インドネシア向けは、冷凍牛肉を中心に6301トンが輸出され、前月の1899トンから約3.3倍に増加するなど、東南アジア向け総輸出量の底上げ要因となっている。この動きに対し現地報道では、3月下旬から4月下旬まで続くラマダン(断食)明けの祝祭日に向けた需要を一因に挙げている。


(調査情報部 国際調査グループ)