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海外需給動向【牛肉/ウルグアイ】畜産の情報 2023年5月号

22年の牛肉輸出量は後半減速し、前年比8.5%減

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23年第1四半期の牛と畜頭数は前年同期を大幅に下回る水準で推移
 ウルグアイ食肉協会(INAC)によると、2023年第1四半期(1〜3月)の牛と畜頭数は52万538頭(前年同期比22.8%減)と、経産牛を中心に前年同期を大幅に下回った(図1)。これは、肉用牛価格が低下する中で、肉用牛生産者が牧草の生育状況などの変化に対応して、牛の保留を進めたためとみられる。近年のと畜状況を見ると、21年5月〜22年6月は堅調な海外からの牛肉需要や高水準の国際価格を背景に、1カ月当たり20万頭を超える高水準で推移したが、7月以降は減少し、同20万頭を下回る水準で推移した。
 ウルグアイでは、広い地域でラニーニャ現象の影響による干ばつが広がっている。このため、同国農牧水産省は22年10月、90日間の農業緊急事態を宣言し、農業緊急事態基金を通じた給付金の交付など生産者に対する支援措置を講じた。さらに、期限となる23年1月には、同措置を同年4月まで延長することを決定した。


22年の去勢牛生産者出荷価格は高値を記録後、下落に転じる
 INACによると、2022年の去勢牛生産者出荷価格は、堅調な海外からの牛肉需要を背景として21年に続き上昇傾向で推移し、6月第4週には1キログラム当たり5.614米ドル(755円:1米ドル=134.53円(注))と記録的な高値となった(図2)。しかしながら、22年9月以降は下落に転じ、12月第4週には同3.572米ドル(481円)となった。その後、価格はやや回復し、23年3月第2週には同4.203米ドル(565円)と前年同期比17.1%安となった。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年3月末TTS相場。

 
牛肉輸出量、22年7月以降前年同月を下回って推移
 2022年の牛肉輸出量は、38万1411トン(前年比8.5%減)と前年をかなりの程度下回った(表、図3)。22年6月までは前年同月を上回って推移したが、7月以降、大幅な減少に転じたことが影響した。また、輸出平均単価は、1トン当たり6694米ドル(90万544円、同15.7%高)とかなり大きく上昇した。22年前半は上昇傾向で推移し、5月には同7471米ドル(100万5074円)の高水準となり、その後、下落に転じたものの通年では前年を上回った。
 輸出先別に見ると、全体の7割弱を占める中国向けは22年7月以降、大幅な減少に転じ、25万8163トン(同10.0%減)と前年をかなりの程度下回った。これは、ブラジルやアルゼンチンといった他の輸出競合国からの輸出量の増加や中国での新型コロナウイルス感染症(COVID−19)対策として都市封鎖(ロックダウン)が行われたことによる牛肉需要の低下などが要因とみられる。一方、中国に次ぐ米国向けは4万1244トン(同13.9%増)と前年をかなり大きく上回った。



 
(調査情報部 井田 俊二)