23年2月の乳価、前年同月比12.6%安
米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、2023年2月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり21.6米ドル(1キログラム当たり64.06円:1米ドル=134.53円
(注1)、前年同月比12.6%安)と4カ月連続で下落した(図1)。USDAによると、23年の乳価は、供給量の増加や軟調な乳製品需要により、下落基調で推移すると予測されている。また、同月の酪農マージン
(注2)については、飼料費の高止まりから同6.19米ドル(同18.36円、同43.6%減)と大幅に減少した。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2023年3月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補塡が発動される。
23年2月の生乳生産量、前年同月比0.8%増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年2月の乳用経産牛飼養頭数は941万7000頭(前年同月比0.4%増)とわずかに増加した。同月の生乳生産量についても、飼養頭数が増加する中で801万7000トン(同0.8%増)とわずかに増加した(図2)。今後の乳用経産牛の飼養動向についてUSDAは、飼料価格の高騰に加え、乳用経産牛価格の上昇により減少傾向で推移すると予測している。このため、今後の生乳生産量にも影響が及ぶとみられている。
23年1月の乳製品輸出量、乳糖とチーズが大幅増
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年1月の乳製品輸出量は全体的に増加した(表)。品目別に見ると、乳糖が3万8200トン(前年同月比29.9%増)と大幅に増加し、チーズについても3万4000トン(同15.6%増)と、主要輸出先であるメキシコ向けの増加によりかなり大きく増加した。現地情報によると、この要因は、同国内の需給がひっ迫している中で、ドル安の為替相場や観光需要の回復が輸入を後押ししたと分析されている。一方で米国乳製品輸出協会(USDEC)は、これまで堅調に推移してきたチーズの輸出について、23年はEUでチーズの生産量の増加が見込まれるため、米国産チーズの価格競争力が低下し、鈍化する可能性があるとしている。
そのほか、WPC(たんぱく質濃縮ホエイパウダー)は、豚肉価格の下落に伴う飼料用需要の低下により、中国向けが大幅減となったものの、日本、カナダ、EU向けが大幅に増加したことで、全体としてかなり大きく増加(同14.8%増)した。
(調査情報部 伊藤 瑞基)